第32話 最強の殺し屋クロは、ばれた
今日の俺は結構暇だ。いつもなら誰かしら寄ってくるのになぜか今日は誰も寄ってこないし逆に遠ざけられている感じがする。
別に何もやっていないのだが何か気にさわることがあったのだろうか……。
一方理事長室にて……。
「そろそろ教えてもらってもいいですか!!」
机をバンと叩く。それに続けてほかの人も理事長に言う。
「そ、そうです。私はまだレイさんと剣を交えてまだ奥底に力があると感じました」
「そうだね。私も同感です。レイはこの全学園島をあげても規格外の人物です!」
「私も個人的に魔術を教えてもらったんですけど。明らかに我々が習う以上の事を知っていました」
「レイっち強いよ~」
「理事長、会長として意見を言いますがあの子は異常です」
いろいろな意見が出てきた。確かにレイは規格外で明らかに周りとは違う雰囲気をかましていたけどそれでもレイはそのオーラ肌で感じる何かを抑え込んでいた。
「皆の言いたいことも分かるがそれも明日話そう。私も色々と忙しい」
「分かりました。明日話してくれますね?」
「もちろんだ」
「ではみんな、明日楽しみにしましょう」
そう言うとエリスに続き会長、ミシェラ、フィスラント、フェリン、スミが理事長室をあとにした。そしてその様子を廊下で気配を消して聞いていたものがいた。
「理事長さん。あれでよかったのか?」
「えぇ、レイ様ももうじきばれると悟っていたのでしょうからね」
その頃レイの思考もばれたと結論づけていた。
「なるほど、あのクロならもう知っていると思ったか……さすが理事長もとい、本名はセルシア。そして実の職業は【六色光特殊諜報部隊隊長】だな」
「もう私の事そこまで調べてるのね。確かに伝説だわ。私はなにも情報を出していないのにさ……ルイス君」
「セルシアまで知っているのか」
「そうね。レイ様だけの情報屋だもの」
そして翌日になる。例の通り昨日、事長室に訪れた六人は部屋の中で待機していた。数分経つと理事長がドアを開けて入って椅子に腰を掛ける。
「では昨日の件だな」
『そうです!』
正直言うのも拒むな、あれほど六色光を愛していたものが近くのレイ自身がクロだったと知れば大騒ぎになる。だから私は策を取った。
「で、君たちか……機密情報を探しているのは?」
「っう……」
何者かがエリスの首にナイフを突き立てた。その突き立てている人物を見てみんなは驚愕した。
「うそでしょ?」
「うそですよね」
「なんで……」
「君が……」
「やめてよ!!」
謎の人物はフードを本格的に外す。
「みんなおはよう。いや初めましてルイスと言います」
『しってる」
「だけどなんでルイスがこんな真似をしてるの?」
「実はさ、俺も任務で潜入していたのさ」
そうこのルイスは確かに非戦闘員なのだが学園に通っている者など相手にならないほどに強いし情報網も大きくかなりの逸材だ。そんな奴の隠密攻撃ときたらほとんど避ける者はいない。
「大丈夫だよ。これは脅して本当には殺さない」
「お、脅し?」
「そう、今から言うことは他言無用でもしほかの人にばらしたら君たち六人の命は無いと思うんだ」
そのルイスの言葉に六人は理事長の方に真偽を確かめるべく顔を向けるが理事長は残念だがと言う表情で首をうなずいた。
「レイって機密にしないといけないほどの人物なの?」
「もしかして六色光の一員とか?」
「いやレイっちに限ってそれは無いでしょ!」
「でもこないだの議会に来たあのクロ様なにかレイさんの名残が残っていたような……」
各々その場で考察をおこない始めたがそれをルイスが手を叩いて止める。
「今から理事長が皆にその真偽を話す。落ち着いて静かに聞け」
『わ、わかったわ』
理事長は自分の正体も皆に明かしながらそのあとにレイについて語り始める。
「結論から言う、レイは六色光ナンバークロだ」
「え……」
「うそでしょ。あのレイさんが」
「正直頭が混乱する」
「目標にしていた者が近くにいるなんて!」
「レイっち……」
「もういいか? そしてクロであるレイがなぜこのアルスアカデミア学園に来たのかは簡単だ任務だ」
それを言い終わると同じタイミングでドアが開く。そこには普段一般の学園生に絶対に見せない姿で立っていた。
「確かに本物です……。黒いローブそして黒い手袋と肩から手の甲にかけて銀色のチェーンが張り付けられているあれはクロ様の特徴です」
「レイあなたは……」
「レイ様が任務を教えたらどうでしょうか?」
その意見にうなずくレイは、二歩前に足をだし自分の与えられた任務をその場にいる六人に教えた。
「ファースト任務はエリス率いるその友人を自身の目で判断して六色光に入れるか決めること、そしてこの場で与えられたラスト任務は神童カルスティア霊峰院の会長並びナンバーワンを排除だ」
「ってことは私たち試されていたの?」
「そういうことになる」
「でもかなり雰囲気違いますね」
「そうだね。いつもの元気なレイと違うこれは仕事モードかな」
「あまり詮索をするな」
「レイ様、では私の生徒たちは合格でしょうか?」
「それは後日この場所へ来い。セルシアはこの地図を六人に渡せ」
「承りました」
それだけ言うとクロ(レイ)はその場から影の如く消え去った。
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