第24話 最強の殺し屋クロは、初任務を遂行する

 バタッドタ!!


 重い何かが床に落ちる音がした。


 「フェリンちゃん、スミちゃん大丈夫?」

 「大丈夫」

 「私も全然大丈夫です」


 裏門組は正門組のアクションを合図に病院内に潜入していた。屋上から徐々に下の方に詰めていき敵を倒していた。


 「フェリンちゃんと私で右の二人やるね。スミちゃんは左の二人やってくれる?」

 「わかった」

 「分かりました」


 ズタタタと言う擬音が正しい走り方でターゲットに近づき首元をスパッと狩る。そして正門組も外の警備を一通り狩り、病院内に足を運ぶ。


 「やっぱり暗いですね」

 「フェスラント大丈夫か?」

 「私は暗いのは苦手ですけど大丈夫です!」

 「ミシェラは大丈夫だよね?」

 「もちろんです!」


 そうしている間にレイ達のチームの前に四人の人影が見えた。


 「敵だよ」 

 「よくこんな暗い中で判別できましたね」

 「敵意を持ったものはすぐに分かるよ」

 「そんなもんですかね~? とりあえずやりますか!」


 そこでレイを軸に隣にいたフェスラントとミシェラは二手に分かれ注意をそらす。今回このごろつきどもにはレイが来るとかは教えていないからまぁ~ドンマイだなと思えばよい。


 「使ってみます! 《部位強化――腕――》」


 ミシェラの拳から繰り出された鉄拳は、いつもと比較できないほどに強烈だった。その鉄拳を食らったものは数メートル先まで吹き飛び震えていた。


 「レイくん! 私部位強化できたよ!!」


 嬉しそうにレイに手を振るミシェラにレイはニッコリとほほ笑み手でグットのポーズを取った。そして先に進むとまた明確に敵意を持った者がいたため今度はフェスラントが相手をする。


 「では次は私に任せてください! 凍てつく氷結は、氷の刃ごとく貫き通せ!!!《アイシングアロー》」


 フェスラントの背後から数十の氷の槍が出てきて目標である、敵意を持った人間にその刃は、貫き通す。


 「レイさん私も一掃できました!!」


 やはりフェスラントもねだってきた。レイは同じようにグットのポーズをとる。


 そして一時すると裏門組とある一つの扉の前で合流する。


 「さて最後の部屋はここですね」

 「みんな準備は良いですか?」

 『おっけー!』


 ガッシャと扉を開けるとそこには誰もいなかった。ひとまず全員中に入る。


 「あれ? 誰もいないですね」

 「どこか見落としたとかではないですか?」

 「それもあるかもしれないです」

 「あ、あのもう一度見てみるとかは??」


 そう次の作戦を立てていた時だった。


 「グハッ!!」


 いきなりフェスラントがその場で倒れた。それに気が付いてみんなは周りを見渡す。


 「どうしたのフェスラントさん!!」

 「グググ……。みんな……おそらくですけど……。この部屋のどこかにターゲットがいる……」


 フェスラントは自身の腹を抑えながらそう答える。


 「おめでとう。予想的中だね」


 暗闇から突如答えるその声はレイ以外は恐怖でしかなかった。そして次なる攻撃を仕掛けてくる。


 「ハハハ。《硬結の糸》」


 男がそう言うとスミの体に食い込む糸が現れた。これはちょっと悪意あると思うが体のラインが分かるほどに食い込んでいる。そしてその糸を斬ろうとしても硬度が高すぎて全く切れる未来が見えない。


 「私はルゼと言います……」

 「みんな知っている?」

 「ごめんなさい。私も分かりませんが明らかに今までの者とは雰囲気が違います! 気を付けてください!」


 ひとまずレイはスミに食い込んでいる糸を切ってあげた。


 「ふふふ……5対1ですね。楽しい……」


 そこで戦闘の合図となる言葉をルゼは言い放つ。それと同時に学園ランキング一位のスミがさっきの仕返しと言わんばかりに刃を立てて猛スピードでルゼの首元へ向かうがルゼはその刃を片手で受け止めてしまう。


 「なんですと?」

 「スミちゃんの斬撃を片手で?」


 スミの攻撃が無理と分かったら次は他の者たちの攻撃をあてるが……。そのすべてをいなしたり、弾いたり。受け止めたりした。


 「ルゼと言う男……。強すぎる……」

 「圧倒てきに格上ですね……」

 「世の中は分かりません……」


 そう息をあげている少女たちに次は別の攻撃を放つ。


 「皆さん終わりですね。《死斬》」


 ルゼが持っている短剣から黒いオーラを少女達に向ける。次第にそのオーラは短剣から離れていき、オーラ単体で行動できるようになっていた。


 そしてその黒いオーラはエリスの元へ猛スピードで向かう。


 「これは当たったらまずい。光の刃よ……的を射ぬけ《ホーリーランス》」

 「おお、良い判断ですね。闇には光。それは自然の法則」


 意味の分からない事を言って次は絶対に殺す。という目をルゼはした。そしてその意志は今ここにいる誰もが感じた。


 「ではもう時間ですので終わらせましょう」

 「フフフ。複合連結硬結の糸《死斬》」


 少女たちに向けられたその技は、上位技術の一つである。【マルチキャスト】そのものだった。そしてこの攻撃は今の少女たちの実力じゃ到底打ち消せないほどの威力でもあった。誰もがもう無理と思ったその時。


 ドガ!!!!


 「なんだ!?!?」


 天井が崩壊して砂ぼこりが舞う中一人の人影が写った。


 「やあやあ。俺が来たぞ!」

 「ルイス!!」


 そして裏で作った作戦でもある。ルイスが後に現れてそこから離脱するを遂行した。そしてルゼ以外誰もいなくなった病院でルゼは男に片膝をつく。


 「いい演技だったよ。ルゼ」

 「いやいや先輩に褒められること以上に喜ばしいことはないですぞ」

 「俺は今回手を出さなかったがもう少し隠密を練習する方が良い。俺は入る前からルゼの存在を把握していた」

 「それはそれは、ありがたいご指摘です! 我ら六色光の傘下の一つ。

陰陽の光フレミングフレイ所属。影人シャドウことルゼは先輩に忠義を決して忘れることはないでしょう!」


 そしてこの演習は表では失敗だが、裏では大成功と幕を閉じた。

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