第25話 最強の殺し屋クロは、本部に帰還する
程よい風がこの身を素早く駆け巡る中、レイは今久しぶりに本部に帰還しているところだ。
「メンバーとはちょこちょこ会っていたけど、本部には久しぶりに帰還するな~」
アルスアカデミア学園が設置されているラスト学園島から大体馬車で一週間の場所に本部がある。かなり遠い。
そして今レイは六色光の最高機密エリアである六色光本部に今到着した。
「門を開けてくれ」
「お前は誰だ!! なぜこの場所を知っている?」
「ここに来るのは命知らずだな」
正直レイの頭は混乱した。確かに俺が現役だった時は、いや今でも現役だけどこんな顔の門番はいなくて代わりにいたのが、体格が魔王みたいな人間二人だったからな……。無理もないか。
そう思ったレイは自身がクロだと言うことを門番である二人に話した。
「嘘つけ!!」
「警報をならせ!!」
やっぱり信用してもらえないか……。そこで一人の門番が警報を鳴らそうとしたとき、ものすごい威圧のオーラを漂わせている者がその門番の腕を止める。
「ミ、ミレイユ様!」
「この者が不審だったので警報を――」
「――いらん」
「でも……」
「この俺がいらないと言っている」
「は!」
なんとレイを本部の入り口まで迎えに来てもらったのは六色光の赤であるミレイユだった。そしてミレイユはレイが今のクロだという事を説明してくれた。
「し! 失礼しました!!!!」
「このご無礼をお許しください!! (ヤバイ殺される……)」
そうこの組織、いやこの六色光の大本部はいろんな六色光の傘下も中に拠点として滞在しているため。殺し屋の中の位を示すために自身より強い組織には礼儀を示すことが絶対条件だ。そしてそれを破ったものは、即その場で処刑されてしまう。
「別に構わんさ」
「あ! ありがとうございます!」
「本当にありがとうございます! クロ様」
俺は今回の無礼を許した。確かに相手は無礼をしたが、今回こちらにも非があった。最初からこの界隈で知られている黒いローブを着ていればよかったことだ。
「門を開けろ!」
門番の一人がその言葉を叫ぶと重厚な鉄製の大きな門はゆっくりとギシギシ音を立てて開いた。
「第二の門も開けろ!」
そうこの六色光の大本部であるこの基地は第一第二第三と三個のデカい鉄門で閉鎖されている。
「いつ見てもすごいね」
「レイちゃん。これ久しぶり見るんじゃないか?」
「そうだね。かなり長い月日見てないから凄い」
そんなたわいもない会話をミレイユとしながら大本部に足を運んだ。しばらく歩くと真ん中に大きな噴水のある広場を抜けて白い家に到着した。
ガシャ
「ナンバークロただいま帰――」
「クロ様だ!」
「おかえりなさいませ、クロ様!」
レイが帰還挨拶をするときに勢いよくメイドが挨拶をしてくる。その勢いは普段混乱しないレイが混乱するほどだった。そしてそのメイドたちの挨拶を終えると奥からただ者では無い四人の人影がこちらに近づいてくる。
「レイおかえり」
「レイさんおかえり!」
「レイちゃんやっほ!」
「レイちゃん久しぶりね」
俺は思わず返事をした。
「ミル、リキッド、カノンそれと……一応リリー。ちょくちょくあっていた人もいるけどミルとかカノンは久しぶりだね」
そしてレイはメイドに荷物を預けてとある場所にいく。長い廊下を歩いた先にあるエレベーターだ地下に向かった。
「レイここも懐かしいだろ?」
「うん。久しぶりだよ。まず六色光がここで練習はあまりしないけどな」
「あははは。確かにそうだな。でも最近新しく入った者もいるから前より多くなったぞ」
「あはは、そうなんだ」
ミルとレイは少しの時間雑談をしているうちに目的地にエレベーターが到着した。
「お前そこもっと力強く姿勢を低くしろ!」
『はい!!』
訓練の声が聞こえる。
「よお! セブン!」
「ん? あ! これは失礼しましたミル様!」
セブンと言う男がそうしゃべると周りにいた数百以上の訓練兵が一斉にこちらに目を向ける。そしてミルには憧れの目や色々綺麗な目を向けるがその隣にいるレイには嫉妬の目や負の感情が入った目を向ける。
「あいつ誰だ?」
「なんでミル様の横にいるのよ」
「部外者か?」
もちろんレイも知っていた。なにせこの者達はレイが学園島に向かった後に入ってきた新参者だからだ。だから今回の無礼も全部水に流す。そうしているとセブンと言う男は冷や汗をかきながら訓練兵に言う。
「レイ様本当にすみません! 六色光本部地下特殊訓練場総監をしている身でありながらレイ様の様子をかの者に連絡することを怠ってました」
「全然いいよ、水に流す」
そしてセブン総監は訓練兵にこの者が六色光最強の存在クロと言う話をした。そして俺が地下特殊訓練場を見て回っている時に廊下でセブンとあう。そしてあるお願い事を頼まれた。
「レイ様、勝手ながらと思いますけど……」
「とりあえず聞く」
「私の勝手ながらぜひ良ければ訓練兵と一戦交えてくれませんか!!」
セブンはレイに深々と頭をさげる。レイは涼しげな顔で答える。
「そんな事いくらでもするよ!」
そしてもう一度訓練兵に顔を出すレイであった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます