学園島編

第5話 最強の殺し屋クロは、見学する

 そして今日から始まるレイの学園島生活は良い方向に行くのかそれとも悪い方向に行くのかそれはだれも知らなかった。


 「あれ……今日からか……」


 レイはベットの上で目を覚まして身支度の準備をして男子寮の一階に併設されている食堂に向かうことにした。


 レイは一人で階段を降り食堂の席に料理を持って座ると周り一帯を見回し、ふとつぶやき……


 「……友達か……」


 そうつぶやくレイの背中を軽く叩いたやつがいた。


 「きみ見たことない顔だね?」

 「今日からアルスアカデミア学園に入学することになったんだ」


 レイが寂しそうにそう言うと笑いながらその男は笑った。レイは目の前にいる金髪のイケた男にこの学園の事を教えてくれと頼んでみた。そしたらその男は快く『いいぜ』と答えた。


 「お~とその前に、名前知らないと不便だろ?俺の名前は【ルイス・ルーミア】よろしくな!」


 レイもルイスの後に続けて。


 「レイって言う。ルイスよろしく」

 「こちらこそよろしくな。友よ!!」


 そして初めての友達であるルイスと共に学園の案内をしてもらう事になった。


 「ここが正門だ」

 「でか!!」


 レイはアルスアカデミア学園の正門を見て一言発してしまった。いやそれぐらいでかかったのだ。正門は赤レンガで綺麗に彩られて鉄格子の門の上にはレイも良く知っている六色光の紋章が飾られていた。


 「レイも知っていると思うが、このラスト学園島はかの最強の組織六色光の傘下に入るために建てられた人口島だ。ここでは決闘が盛んにおこなわれるんだ」

 「決闘?」


 レイが不思議そうに呟くとそれを察したのかルイスは決闘の説明もかねてこの学園島のルールも話してくれた。


 「決闘とは、互いの承認を得てから特定のフィールドで戦う行為なんだ。そして買ったらwinpointという物が自身のデバイスに支給されるんだ」


 レイは自分の服の中に入っている理事長からもらったデバイスを手に取りそのwinpointの欄を見たが、まだ一回も戦っていないレイにはもちろんそのpointは支給されていなかった。


 「そしてこのポイントはその人の強さでもあるんだ。そしてほらここのアプリを開いてみて」

 「うん」

 「このランキングアプリの場所にランキングが表示されるんだ。ランキングは二種類あって、学園ランキングと全体ランキングがあるんだ」

 「そうなんだ……」


 レイはすぐにこの島の一位を取ることは容易だろうが、レイの自分に課した任務は一般の学生と同じように静かに暮らすことだったのでこのランキングにお世話になることはないだろうと思っていた。


 「今の学園ランキングの上位者は……。5位がエリス様で4位がロックフィード先輩で……」


 とランキング上位者を次々と名前で読み上げていた。そしてアルスアカデミア学園の初の授業となる。


 「そしてこの場合の対策は……」

 (内容が簡単……)


 レイが簡単というのも理解できる。レイほどになるとこの程度は体に染みついているのが当たり前なのだから。だがレイは我慢をして授業を聞いている風にして毎日を過ごした。


 ある日レイが自身の寮に戻っていると、公園で少しいざこざが起きていた。レイはたくさん人が見ている中に入っていきその光景を目の当たりにした。


 「これ何しているの?」


 レイはたまたま隣で見ていたルイスを見つけ、この状況を説明してくれないか頼んだ。


 「俺もいま来たばかりだけど、なんかエリス様にぶつかった男が決闘でボコボコにされているらしいぞ」

 「エリス様は家柄が厄介で誰も逆らえないんだよ」


 レイはそれを見てぶつかった男が心から謝っているのを見て、エリスがその男に魔法を使うのが見えたのでその決闘に横槍を入れた。


 「ちょっとまって」


 レイはその決闘の間に入り仲裁を行った。それを見て観客がざわついているがレイはそれをお構いなしに次の言葉を話した。


 「きみこんなに謝っているから許したらどう?」


 その発言でまた周りはざわついた。あいつ怖いもの知らずだなとかあいつ死んだわとかその言葉はレイを侮辱する言葉に近い。


 「俺はこの男がわざとぶつかったとかは思えないね」

 「あんたもしかして……」


 エリスという者は何かを悟って驚いた表情をした、その表情の理由はレイには一切分からなかった。


 「あなた、もしかしてこないだこの学園島に来た人?」

 「お前は……」


 それは先週レイを理事長室に連れて行った女の人だった。レイはそれはそれで置いて、男に攻撃をしないことをその女に誓わせる。女はあっさりと受け取ったが、条件付きでだ。


 「分かったは、その男は見逃すけど……あなたとの決闘で私が負けたらの話ね!」

 (え……だる)

 「分かった」


 レイも心の中で愚痴を吐きつつそのエリスの申し出に了承した。決闘は来週のこの日らしい。アルスアカデミア学園中は盛り上がっていた。ランキング上位者であるエリスと新入生の決闘どんな戦いになるかぞわぞわしているのはルイスだけではない。


 「なぁ、レイ大丈夫なのか?」

 「ん?何が」

 「ってお前緊張しないのかよ!」

 「はっきり言うと全くしない」

 「まじかよ……そのメンタル俺にもほしいな」

 「あげるよ」

 「まじかよ!。ってアホ!。因みに明日なんだろエリス様との決闘……」

 「そうだよ」

 「もう寝ろよ」

 「分かった」


 レイは一言しかしゃべらないがルイスの忠告を素直に受け取り明日の決闘の為に寝ることにした……。


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