エルクのパラレルワールド

東京から電車とタクシーを乗り継ぎ、廃墟のビルを訪れた。

ここは九州のとあるビルだ。


「もう終わりだ。自殺しよう。」

橋山チカラは、200万円の借金と部下に裏切られた屈辱でいっぱいだ。


もし、この階段を2階まで上りきる前に、奇跡がおきなければもう神を信じるのをやめよう。


かん、かん、かん、かん、かん、かん、かん、


2階に着いた。神はいないのか、いや3階まで上がりきる前に、奇跡がおきなければ神を信じないことにしよう。


かん、かん、かん、かん、かん、かん、かん、


3階に着いた。神はいないのか、もう死のう。


扉が開いている。


きーーーぃ、といかにも嫌な音をたてる。




夜明けだ。


日の光がもし、悪い存在によってつくられていたらどうだろう。

人は、かくも騙されやすいものだ。


涙が枯れて、その男は強くなった。


「もう、捨てるものはない。これからは人のために生きよう。これは、橋山チカラの試練です。」


橋山チカラは、自分が神だと考えた。

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