起死回生

「マリウス、マリウス!」

僕は、暗闇のなかマリウスの後ろを見て必死に追う。


ここは神殿だ。死んだ人間が生き返る、‘迷い人の神殿’だ。


扉の近くでマリウスが止まった。

マリウスは、振り返った。

顔を見ると、涙を流している。


「耳人形さん、くれぐれも、三尾を許さないでください。

そして、マリウスを助けてください。」


「マリウス!」


マリウスは扉を開けて光が満ちた向こうに渡った。


「耳人形、マリウスを追いなさい。」

大きな声がする。


僕は光が満ちた部屋に入ろうとした。


その時、木の葉と風が僕の後ろについた。


「だまされるな、耳人形!

お前は幻想をみせられている。」


三尾の声がする。


僕は念のため、‘はな’をきかせた。


「これは血の匂い、この神殿は血の匂いでいっぱいだ。

そして、その匂いは、大天使エルクからか!!」


白い神殿が、消えていく。幻だ。


「耳人形、傷つくかもしれないが、お前は、マリウス・チャンと言っていたな。

そいつが、この世に存在しない。」


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