藁人形の嗤い

一樹は震える。


その不吉な藁人形が後ろにいるような感じがする。

午前4時とはなんとも疲れる時間だ。


藁人形が後ろにいる。


恐怖に負けてはいけない。


僕と藁人形との、どちらが時間の(主導権)を握るかの(体力任せの)勝負なのだ。


怖い、怖い、怖い....


「泣かないで大丈夫だよ」


「この藁人形が、どれくらい忌み嫌われできたと思う?

呪いはそうやって大きくなっていくんだ。

つまり、この藁人形は本当は君と仲よくしたいんだ。

ね、見てごらん。

なかなか優しそうな藁人形でしょ。」


一樹は、勇気をだして藁人形を両手で抱きあげた。


藁人形は、金色の光につつまれて、「ありがとう」というと暗い虚空に消えた。


耳人形は知る人ぞ知る霊媒師だが、一樹のような体験をして、(目に見えるもの)はなにか。

間違っているのは、自分たち、歴史を主役として牛耳ってきた人なのではないかと自責する者もいる。

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