この神さま、悪いのわかっているのかな
人智をこえた道化師がいる。
その神さまはありとあらゆる力をもつ。
世界の創造が可能なその一人の道化師は、次の世界の創造のかわりに今現在の世界を消してしまおうとしている。
「ねぇ、おかえりって言って」僕は言った。
「なぜ、私が作り上げた世界を、私が壊すことで罪を受けないといけない?」道化師が言う。
「理由は簡単だよ。もう、この世界を作ったのがあなたみたいな全知全能の‘神’さまでも、この世界には、人びとが住んでいるんだよ。生きているんだよ」
「私は永遠に生きる。それでも、もうこの世はそろそろ終わりにしたいんだ。」
さらに続けた。
「耳人形といったね」
「そうだよ」
「私を罰するんだとしたら、こちらも堂々と戦うよ。」道化師は宙に浮いた。
「君に世界創造まで可能にしたこの力を見せてあげよう。」
「ああ、僕を抹消する気だね。
「わかっているではないか!
ブルーフレイム!!」
ガゴーン!!!
鈍い金属音がする。
青い炎が耳人形を燃やし始める。
「フハハハハ、終わったな。人面犬め!」
しかし、耳人形は燃えていない。
「わ、私の術が効かなかった。」
「効かないよ。だって僕はもっと大きいもののために生きているからだよ。
せめて僕は、一般的には受け入れられない人面犬。それでも頑張って生きているんだよ。」
「な、なんてことだ。」
「おかえり、って言って。」
「なぜ、神の私が言わなければいけない。」
「道化師の神さま、人の悪いところ見すぎたんだよ。ただそれだけ。ね、考え直そうね!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます