ろうそくは白いとは限らない


「白い蝋燭よりも、ちょっと風変わりな色の蝋燭がほしいな。」

怪しい蝋燭の店で、僕は言った。


「私どもは死を扱う商人でして、蝋燭は幾種類もご用意があります。」その蝋燭店の暗い店員は言う。


「ん?この蝋燭は赤いぞ。」と僕はかまをかけた。


「これは、これは、お目が高い。それは特上の蝋燭です。」


「何に使うんだい?」あとはこの不可解な店員に問いかける。


「葬儀に使われます。」

僕にはわかっている。腹立たしい。

「違うね。」


「これは、これは大した観察眼。それは特上の特上の蝋燭でございます。」


「この蝋燭は、血でできているね。」



「ばれましたね。その通りでございます。」と店員は言った。


「追いつめたぞ。言わないとね。」


「追いつめられました。」


「言って。」


「おかえり。」

店員は観念したようだ。


(ばぐ!)


「あたたたたた」


「この蝋燭の店を閉まいなさい。」


「あははははは、人が嫌いだったもので。それで4人ですよ。ばれたか。」

そして気付いた。

「ところでここはどこです。いつの間にかワタクシは何でこんな橋の上にいるんだ?」


「今日、今ここでその4人が浮かばれるんだ。」


「え?浮かばれたいのはワタクシの方ですよ。」


「そうだな。言って。」


「おかえり。」


(ばぐ!)


「耳、ワタクシの耳が両方ともなくなったー!?」


「お前が葬った4人は、体から滴る血液を(商標)にとられているんだ。

両耳ぐらいよしとして三途の川を渡れ。」

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