水晶が奏でる
マリウスは釈放されることになった。
マリウスにとりつき、殺人事件をおこさせた、‘憑きもの’が消えかけたその時、僕は千里眼で見逃さなかった。
きっと街中どこにでもいる狐だ。
狐が憑いている。葉と幸山(ハトユキヤマ)のハトユキキツネではない。山の神が憑いている。
違う。
この嫌な人の不幸をあざ笑う狐の憑きものは、
「三尾だ」
嫌な予感がした。
マリウスは、狐の考えることを直感的に理解する力があった。
三尾を見たことがあり、正体を明らさまにされたくない理由から、マリウスにつけ込んだのだ。
その場合、マリウスが社会的信用を失う。しかし、それだけで終わらせるはずがない。
「三尾が憑いていた。マリウスが危ない。」
そう僕が言って、千里眼で再びマリウスを見たときマリウスは路上に倒れていた。
それは8月の残暑の雨の降る午後だ。
マリウスは、「あきらめてください」というと、にっこりと微笑んだ。
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