世界の証言者(華僑とマリウス・チャン)

マリウス・チャンは、中国人、ひらたくいえば‘華僑’だった。


華僑は、世界規模で大きな経済力、影響力をもっている。

マリウスは、ただ獄中でにこにこしていた。そのため、看守は食事を運ぶときに「それじゃ、あの中国にいつまでたっても帰れないぞ」と伝えたようだ。

そのようなときマリウスは、「私は日本を中国と同じように愛している。」と言ったのだ。


僕にとってマリウスは、誠実で純粋な青年に見えた。


だから、道を間違ってほしくない。


僕には見えていた。マリウスには、なにかたちの悪い「憑きもの」が、うっすらと肩に尽いている。


遅かった。


ただし、幸運にも風馬教は彼を捨て、彼を守る華僑はマリウス・チャンを‘かいな’から、こぼれ落とさせなかった。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る