ハトユキキツネは怖がりだ

「コーン、こんな感じか」


耳人形は、ハトユキキツネに混じって、なぜ山の神を蔑むのか調べることにした。


林にふと入った瞬間に、耳人形は後ろから見られている感覚がした。

ただし、ここで捜査をやめるのは器量からして不適切だと思い、

「追ってきていいよ」

とのごとく一気に走り出すことにした。


2分程、走ると近くに3匹のハトユキキツネたちが寄ってきた。

「ここは、山の神さまのお膝元。

なぜ急ぐのだ?」

「ちょっと調べたいことがある」

とまた走り出すことにした。


5分程、走ると近くに7匹のハトユキキツネたちがいる。

「ここは、山の神さまの直下のハトユキキツネが守る。何のようだ?」


さらに5分程、走ると重々しい祠がある。

狐火が一つ、二つ、三つ、……並んでいる。


「入ってみるか」

そっと足を踏み入れると、ひんやりと冷たいキツネの術を感じた。

山の神の術に似ている。


つまり、こういうことだ。

山の神は本当は狐で、いざという時に従者のキツネたちが自分を守るか確かめたかった。つまり、蔑んでいたのは真っ赤な嘘だった。嘘のつもりだった。


「狐火たちは、ただ誇らしげだった」


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