第3話 生活に必要な魔導具って?

「しゃんしゃいじでもできりゅ、ちょーしょきゅきゅっきんぐ!(3歳児でも出来る、朝食クッキング!)」


 はい、皆さんおはようございます。由依です。もう原材料しかないアイテムボックス内。食べるためには料理するしかないのよねぇ。という事で朝食クッキングです。


 昨日はサンドイッチと野菜ジュース、お惣菜で過ごした私。でもね、お弁当や惣菜ってやっぱり飽きてくるのよね。しかも、私3歳になっちゃったし、栄養いっぱい取らなきゃいけないし。


 そこで今朝厳選し購入した家電魔導具のご紹介!


「まじゅはー、まどーじゅーさーみきしゃー!(まずは、魔導ジューサーミキサー!)」


 魔導ジューサーミキサー MP17,000

 ***今回ご紹介いたしますのは、大容量×ハイパワー ブレンダー ジューサーミキサー!毎日の食卓やパーティに大活躍!たっぷり6人分を一度に調理出来る1500mlの大容量ブレンダーです!たった30秒でなめらかグリーンスムージーが出来上がります!回転数が高く、繊維のある葉野菜や市販の冷凍食材もあっという間になめらかに調理できますよ!軽くて、丈夫で、扱いやすい、そして新機能ボタン一つで出来る自動洗浄とメンテナンス機能付き!小さくなったあなたに必要な栄養をお届けします!***


 果物とかも買っていたし、この世界にも果物あるだろうし、これでスムージーやフレッシュジュース作れるわね!


「こりぇはひっしゅ!まどーふーどぷりょしぇっしゃー!(これは必須!魔導フードプロセッサー!)」


 そして3歳児で一番困ったのが包丁が持てない事!という事で

 こちら!


 魔導フードプロセッサー MP28,000

 ***小さくなって困っているあなたに!一台6役細かい設定もできるこのフードプロセッサー!切る、刻む、こねる、薄切り、おろす、細切り(小)、細切り(大)がボタン一つで自動切り替え!魔素自動充填型で使いたい時にいつでも使えます!圧倒的パワーに安全性を備えたこの一品!こちらも新機能、ボタン一つで出来る自動洗浄とメンテナンス機能付き!買って損はありませんよ!***


 これが一番助かると思うのよ。取り出したらすぐ綺麗にもなるし、思う様に切ってくれるし。魔導具様々よ。


「しゃらに!こりぇがにゃいとはじまりゃにゃい!まどーおーびゅんれんじ!(更に!これが無いと始まらない!魔導オーブンレンジ!)」


 まだ背が低いから危なくてキッチン使えないの。だからこれも必需品よね。


 魔導オーブンレンジ MP34,000

 ***こちらは毎日の生活に必需品!買わずにはいられません!二段調理でたっぷり作れる!スチーム機能付きでスピーディに加熱いたします!簡単メニュー機能が多彩なオーブンレンジです。もちろんこちらも魔素充填型。長時間の調理も可能になりました!付属の耐熱皿も人気の深皿、耐熱鍋、平皿も合わせてお買い得!さらにあなただけの特典!ボタン一つで自動洗浄、メンテナンス機能も搭載!さあ、買うなら今!***


 ……何かしら、この商売上手なサイト。私の好きなツボをついてくるのよ。でもこれは買って損はないわ!だって冷凍食品もいっぱい買ってあったのよ!という事で「チーン!」出来上がり!え?作らないのって?……悩んだりしてたから疲れちゃったの。


「みーとしょーしゅぱしゅた(ミートソースパスタ)、できあがりでしゅ!」


 レンジで温めるだけって簡単で良いわよねー。でも後でちゃんと作るわよ。料理好きだったもの。さ、リビングに持って行って食べましょ。


「いただきましゅ!」


 ちょっと犬食いになる時もあるけど、何とかフォーク使えるわね。あ、キッチン探したら箸、スプーン、フォーク、ナイフ、お皿数枚はあったのよ。後は足りないもの毎日買い足していかないとね。でも……


「いちびゃんこまりゅにょは、しょくりょーでしゅね(一番困るのは、食料ですね)」


 だってラノベみたいに1日経っても使った食材が戻っているって事ないもの。という事はいつまでもここにいるわけにはいかないって事。


「いどーしゅるしきゃにゃいわけでしゅね(移動するしか無いですね)」


 覚悟をきめないと。魔導ペンダントあるし、魔導ブレスレットもあるし。でもねぇ……思わず小さくなった自分の足を見ると……歩きは無理ね。という事は!


「いどーまどーぎゅのでばんでしゅよ!(移動魔導具の出番ですよ!)」


 あ、調べる前に食べ切らないと。あと一口。「ごちしょーしゃま!」食べたものは片付けてしまわないとね。洗い場に持って行って、蛇口に手を近づけると自動でお水が出てくれるのよ、ここのキッチン。フォークをあらうのは……?あ、食洗機が洗い場の下についてた。これはサッと洗って食洗機に置いといて。ゴミはどうしよう?手を拭くタオルも必要ね。


「はぁ。しぇいかちゅしゅるってたいひぇんでしゅね(はあ、生活するって大変ですね)」


 3歳児で生活するのもね。でもやっぱりスキルがあるのは大きいわ。感謝しなくちゃね。ちょっと行儀悪いけど手をプルプル振って「しゅてーたしゅ!(ステータス!)」ゴミ箱とタオル買ってしまいましょ。


 〈家具魔導具〉より

 魔導ダストボックス MP17,000

 ***こちらはゴミ箱に見えない木目調のダストボックス!人がゴミを持って近づくと感知して自動で蓋が開く優れもの!分別要らずでダストボックスの中でゴミを消滅させます。勿論安全設計機能搭載。誤って投棄してしまったものは瞬時に判断、排出出来る簡易AI付き。自動洗浄と自動メンテナンスは常時行います。清潔で永続的に使えるダストボックス!是非お買い求めを!***


 〈日用品魔導具〉より

 魔導タオル(大判サイズ×5 ハンドタオル×5) MP3,000

 ***こちらは抗菌、防臭、常時洗浄機能付き。いつでも清潔な状態で使える優れ物!更にふわふわとした上質な触り心地を提供いたします。野外でも大活躍のこの商品!年中お安く提供させて頂きます!***


 ……とことん便利よね、このスキル。じゃ早速タオル掛けにかけて行きましょう。タオル掛けの設置はされているのよ。キッチンと、お風呂場に洗面所に一枚ずつね。後は洗面所下の戸棚に仕舞ってっと。ゴミ箱に冷凍食品の袋とプラスチック皿を捨てて、片付け終了!さて、今度こそ【移動魔導具サイト】ね!


「なーにがでりゅでしょねー♪」


 リビングのふかふかソファーにボスッと座り、【移動魔導具サイト】を開くと……


 〈魔導自転車〉

 〈魔導バイク〉

 〈魔導自動車〉

 〈魔導ハイヤー〉←貴方におススメ!

 〈GHJIKO¥#*〉

 〈%*bvhdjk¥!〉

 ・

 ・


「ほえ⁉︎」


 思わず間抜けな声が出たわ。何これ?魔導ハイヤーって?相変わらずおススメされてるし。それに文字化けされているのもあるわ。でも文字化けはまだ見る事ができないものって事よね。とりあえずおススメされてる魔導ハイヤー見てみましょう。


 〈魔導ハイヤー(3時間限定)〉

 ・スタンダードタイプ(一週間) MP16,000

 ・ビジネスタイプ(半年) 

 早期割引特典半月無料有り MP370,000

 ・プレミアムタイプ(年間) 

 早期割引特典一ヶ月無料有り MP700,000


 ***移動にお困りですか?それでしたら魔導サイト運営の当社が誇る魔導ハイヤーはいかがでしょうか?こちらのご使用方法は、契約期間あなたのアイテムボックスに契約車庫を設置、必要な時にアイテムボックスより出庫され、搭載AIにより小さな貴方を目的地までお連れします。外装も馬車に偽装して走る為悪目立ちする事はございません。

 安全面も勿論ご安心下さい。当社の契約車両と貴方のペンダントを同期させると、乗車の際に車体から半径2m常時結界が発動致します。そして車体搭載AIによる判断により反撃機能が起動致します。

 乗り心地も空間拡張により、衝撃吸収、防音、防臭、空調機能が常時発動。快適な空間での移動をお約束致します。但し、1日の利用時間は三時間までですので、計画的にご利用下さいませ***


 このサイトは何を目指しているのかしら。それに私にだけ車に見えるの?……ともかく、確かに3歳児のこの身体じゃ自転車も乗れないし、運転もできないわ。試して見る価値はありそうね。


「しょうしゅるとー、まじゅはおためしでしゅたんだーどたいぴゅ!(そうすると、まずはお試しでスタンダードタイプ!)」



 魔導ハイヤー スタンダードタイプを契約してみたら、ステータス画面にご丁寧に説明文が出てきたのよ。


 ***ご契約ありがとうございます!貴方のアイテムボックスに[魔導ハイヤー車庫:納車]を設置させて頂きました!ご使用になる際は、ダブルタップでお呼び出し下さいませ。但し、室内でお呼び出しは出来ません。必ず外に出た状態でご利用下さいませ。***


 流石に室内で呼ばないわよぉ、と思いつつもタップするところだったから、ちょっと危なかったわね。さてと……


「どうちまちょう?(どうしましょう?)」


 このまま今日もここに居たって食料が減って行くだけよね。少しずつでも移動すべきかしらね。うん、そうしよう!じゃ、外に出るわけだけど、また魔物がいきなり出るかもしれないし、テント出したまま[魔導ハイヤー]を呼ぶべきね。


「しょれじゃ、しゃっしょく!(それじゃ、早速!)」


 まずはトイレに行ってっと。


「ちいちゃいといろいろたいひぇんでしゅ。にゃれにゃいといけましぇん(小さいと色々大変です。慣れないといけません)」


 トイレに行くのもドアを開けるのも時間かかるのよ。困ったものね。しっかり手を洗って、タオルで拭いてさあ、行きましょう!


 って言っても怖さはそうそうなくなるものじゃないのよ。テント入り口まで行ってピタッと止まっちゃうのよね。恐る恐る外を見てみると……


「みぎゃー!!」


 また素早く寝室に走って行って布団にくるまる私。だって魔物が3体居たのよ!3体よ3体!


 ………でもおかしいわ。動いてなかったわね……


 またもや毛布を抱きしめて入り口まで戻ってそおっと外を見ると、やっぱり動いていない魔物達。もしかして……


「あいてぃむぼっくしゅしゅーのー!(アイテムボックス収納!)」


 って言ったら入るのかしら?ってアイテムボックスを見たら、[オーク×2 イエローボア×1]って出てきたのよね。これ多分私が中にいる間反撃機能でやられたのね。今回は音しなかったけど、テントの性能もアップしたのかしら?不思議よね。


 ま、今更不思議な事考えても仕方ないか。じゃ、入り口から少し身体を出して[魔導ハイヤー]呼んでみようかな。アイテムボックス開いて[魔導ハイヤー車庫:納車]をダブルタップしてみると……


 1m先の左側の空間がスウッと黒くなってどこかの空間に繋がったのか、そこから車が出てきたの!しかも?ハイヤーってSUV車なの?格好いいわ!


 気分が上がってみていたら、ハイヤーの後部座席が開いてステップが出てきたの。あ、入れるのね。じゃあ、テントを収納して、素早く車の中へ避難よ!私が車内に入るとパタンと自動で閉まって明るくなる車内。


「こりぇはふぁーしゅとくらしゅでしゅか?(これはファーストクラスですか?)」


 運転席助手席は通常の造りなのに、後部座席は飛行機のファーストクラスみたいに一人用ソファーが四つ。しかも座席後部には扉ついているの。思わず開けて見たらそこはおトイレ。驚きよりも「たしゅかりましゅ!(助かります!)」って喜ぶあたり、私も慣れてきたわよねぇ。


『ご乗車ありがとうございます』

「ふあ!おどりょきましゅた!(驚きました!)」

『失礼致しました。私は魔導ハイヤーを担当致しますタクと申します。間もなく出発致します。お座席にてお待ち下さいませ』


 あー、びっくりした。でもそういえばAI搭載されているんだっけ。名前あるんだ。そう思いながら席に着くと、何これ!すっごいふわふわ。なんか包み込まれるみたい!


『では目的地を選択して下さい。

 港の街グリュンデル ここから約一ヶ月

 王都ベトウィル   ここから半月

 湖の街フェンシル  ここから三時間

 鉱山の街ロンジー  ここから二時間


 どこへ向かいますか?』


 この身体で遠い場所は嫌だし、かと言って鉱山の街と王都はなんか気が進まないし……最初は湖の街が一番無難かな?


「フェンシュル(フェンシル)でしゅ!」

 『畏まりました。湖の街フェンシルへ向かいます』


 静かだけどエンジンかかったのね。窓の景色が動き出したわ。ついにこの場所から出発か……ふふっ、何が待っているのかしら。こうなったら楽しまなきゃね。


 ……あ!毛布ずっと抱いたままだったわ。

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