第17話 クラスメイトの祝福

杉山マナという女子と話した。

誰かといえばメルの妹に該当する。

俺は話した内容を思い出しながら窓から外を眺めてみる。

それから溜息を吐く。


「大丈夫か」

「まあ大丈夫だ。色々あるなって思ってな」

「ああ。なるほどな」

「まあ人生はこんなもんだろ」


休み時間にそんな会話をしているとガラッとドアが開いた。

それから涼子が顔を見せる。


クラスメイトは、涼子ちゃん!お久ー、と笑顔で歓迎していた。

俺はその姿を見ながら涼子に聞く。

どうしたんだ?、と。

すると涼子は、う、うん。お、お弁当を届けに来た、と柔和に対応する。


「ああ。成程な。有難うな。いつも」

「うん。だって.....」

「言わない方が良いんじゃないか。涼子。内緒にしとこうぜ。付き合っているのは」

「そ、そうかな。じゃ、じゃあ元一が言うなら」


だがこれは通用しなかった。

何故なら小声で話していたが地獄耳が居たから、であるが。

お前ら付き合い始めたのか?、と奈良が聞いてくる。

俺達はギクッとなる。

奈良が言ってくる。


「悪い事じゃないと思うぞ。まあ周りに知らせるのは」

「奈良.....」

「寧ろこのクラスメイトは期待しているんじゃないか?」

「.....そうか」


クラスメイトを見るとみんな期待する眼差しをしていた。

俺はその顔に涼子と顔を見合わせてから、みんな。聞いてほしい、と告げる。

するとみんな頷いた。

それから、水臭いぞ。屋戸!、と言ってくる。

そしてそんなみんなに意を決して話した。


「俺達は付き合い始「まあ気付いていたがな」」


予想外の言葉に俺は唖然とする。

それからみんなを見る。

大体は気付くだろ、とも。

そして俺達をみんなは笑顔で見てくる。


途中で口を挟んだクラスメイトは俺を見ながら、第一お前と涼子ちゃんがそんな感じで気付かない馬鹿は居ない、と語る。


「お前ら.....」

「俺達は歓迎するつもりで居た。お前が言うまでは内緒にしようって思ったけどな」

「騙されたんだな?俺は」

「騙されたんだよ。まあどっちにせよ。杉山の件もあったし。大きくは言えなかったから。すまんな」


クラスメイトは苦笑する。

女子は涼子に、良かったね!、とニコニコする。

涼子はその事に、う、うん、とニコッとした。

俺はその姿を確認して顔を前に向ける。


「なあ。さっきの人は杉山の妹らしいが.....解決出来そうか?」

「俺は話をするよ。絶対にな。だから解決するさ。必ずな」

「何かあったら頼れよ。俺達に」

「分かった。感謝するよ」


俺は感謝しながら次の時間を迎える。

それから俺は終わってから保健室に向かう。

そしてドアを開ける。

すると水道橋先生が、おはよう、と言ってくる。


「愛しい彼女さんはお勉強中ね」

「いやあの。どっから知ったんすか」

「内緒のルートがあるのよ。あはは」

「めっちゃ恥ずかしいです」


俺は赤面しながら涼子に声を掛ける。

すると涼子は、あ、とニコニコし始める。

俺はその姿を見ながら、よお、と話す。

そして涼子の横に腰掛ける。


「取り敢えず貴方達はお似合いだと思うわよ」

「教師がそんな事を言って良いんすか.....」

「私が公認しているんだから。大丈夫よ」

「いや、私がって」


いやいや、と思いながら苦笑い。

横の涼子はホッとした様な顔をしていた。

俺はその姿を見つつ、何をしていたんだ?、と聞いてみる。

すると涼子は、う、うん。先生から教えてもらってた、と応えた。


「そうなんだな。良かったじゃないか」

「そ、そうだね。うん」

「昼ごはん有難うな。涼子」

「う、うん。あ、屋上に行こうか」


水道橋先生はニヤニヤしながら俺達を見送る。

その姿にまた恥ずかしくなりながら俺達は逃げる様にその場を去る。

そして階段を登っていると涼子が俺に向いてきてから柔和になる。


「も、元一とご飯。嬉しいな」

「いやいや。お前な。今更そんなので喜ぶなよ。一緒に居るじゃないか何時も」

「わ、分かってないな。元一は。元一と一緒に食べる事に意味があるんだから」


い、今だって私は嬉しい。だって彼氏と一緒にアーン出来るし、と話す涼子。

俺はその言葉に赤くなる。

いや、アーンする気かよ、と。

すると涼子は俺のそんな顔に、当然、という感じで胸を張る。


「わ、私達は彼女彼氏だから。当たり前だよ」

「そ、そうか」

「どんなに恥ずかしい事でもやるよ。だって彼氏彼女だから。ステップを踏むの」 


だ、だから私を愛して、と潤んだ目を俺に向けてくる。

俺はその姿にキュンとなる。

そして、グゥ!、となってしまう。


「ステップは大切だがやり過ぎは良くない」


俺はそう話す。

すると涼子はちょっとショックを受けた顔をした。

俺は鼻を掻く。

それから、だが、と言ってから。

涼子の頬を片方の手で補強してからそのまま誰も居ない場所でキスをした。


「元一.....」

「でもな。お前を心底から愛してる事は間違いない。有難う」

「.....え、えへへ。有難う。私も愛してるよ。元一。本当に大好き」


涼子は赤くなりながら笑顔になる。

それからニコッとした。

愛おしい顔だ。

考えつつ俺はまた柔和になる。

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