第16話 それは違う
「貴方はメルの彼氏さんだった人ですか」
「.....お前誰だ?」
「.....私の名前は杉山マナです。私はメルの妹に当たります」
学校に登校してくるなり.....いきなり校門付近で絡まれた。
それは他校の制服を着ている中学生の様なセーラー服の美少女。
俺を見ながら不穏な顔をしている。
その様子に時間を見ながら、マナさん。俺達に何の用事だ、と聞く。
するとマナさんは、単刀直入に言います。.....貴方という人間は正義ですか。悪ですか、と聞いてくる。
哲学?
「.....そ、それはどういう意味」
涼子がそう聞く。
するとマナさんは、私の姉は本当に最低な事をしました。それは分かります。.....でもそれを放置している貴方は最低だと思います、と俺を見てくる。
俺はその言葉に、イジメと問題は別だと言いたいのか、と聞いてみる。
その言葉にマナさんは、はい、と話す。
「イジメ問題と浮気問題は別だと思います。.....人権が絡んでいます」
「それは分からんでもないけどな。.....でもメルは.....」
「.....貴方はこれで良いと思っていますか.....私はこんなの最低だと思います。.....貴方も同罪だ」
そりゃ確かに命は絡んでいたよ。
でもなそれで浮気問題が解消される訳じゃない。
思いながら俺は顎に手を添えて悩む。
すると涼子がノイズキャンセリングイヤホンをいきなり外して見据えた。
かなり真剣な顔で目の前を。
「.....貴方は何も分かってない。.....彼も相当苦しんでいる」
「.....!」
「りょ、涼子?」
「彼を責めるのは間違っている。.....彼は。元一は頑張った」
「.....しかしクラス内で起こっていたイジメを放置していたのは事実でしょう。.....それに.....」
それにって何?確かに放置していたけど根本の原因はあなた方だよ、とマナさんに睨みを効かせる涼子。
俺はその言葉に、まあ確かにそうだが.....、とまた考え込む。
すると、死を経験する程ですか?今回の事は、と睨んでくる。
「確かに浮気をした。.....だけど私はイジメと浮気は別問題だと今は考えます」
「そうは思わない。元一はしっかり対応した」
「.....対応って具体的に何ですか?救った事ですか?もうちょっと前から救えたでしょう。それは」
「それは.....」
そもそも目の前で死んだ人も見た事ない癖に、と話したマナさん。
その言葉にカッとなったのは.....俺じゃなくて涼子だった。
罵声を浴びせる様に大声を出す。
そんな事ないもん!、と。
「.....貴方は知らない.....元一は大切な大切な悠希さん。.....じゃなくて妹さんを目の前で失っているのに。.....事故で死なれたんだよ?妹さんに。崖から落ちて」
「.....!」
「人生を.....舐めないでくれるかな」
「.....」
俺の代わりにその様に諭す様に言った涼子。
するとマナさんは、そうなんですね、と言葉を発した。
それから考える仕草を取ってから。
そのまま、分かりました。今日は引きます、と話す。
「....ただしこれで終わったわけじゃないですので」
「そうだな.....お前にはお前の思いがあると思うから。何かあったら来い」
「.....」
マナさんはそのまま頭をゆっくり下げて去って行った。
俺達はその姿を見ながら居ると。
涼子が、な、何でもう一回会えるとか言うの、といつもの調子に戻る。
俺はその言葉に、何でかな。もう一回会わないと気が済まない気がした、と答える。
「.....元一はあまりにも優しすぎる」
「.....優しいとかじゃない。.....彼女の事を考えた結果だぞ。最優先の結果だ」
「だ、だから.....そんな事をするから女子が惚れるから」
「ふぁ!?」
怒った顔で風船の様に頬を膨らませる。
それからプイッとそっぽを見た。
優しすぎるから女子が寄って来るんだよ、と小さく言ってから、だ。
その様子に、落ち着け、と俺は苦笑いを浮かべる。
「落ち着け。俺はそんなつもりはないからな」
「ど、どうだか。.....わ、私以外の女の子に向いたら嫌だよ?絶対に」
「向かないからな。彼女の事は大切にするつもりだ」
「そ、そう」
涼子は安心したのか胸に手を添える。
そして涼子は俺の手を握ってくる。
それから赤くなりながら、じ、じゃあ行こうか、と笑みを浮かべる。
俺はその言葉に、ああ、と返事をした。
そうしてから俺たちは校舎内に入って行く。
何というかこういう事もあり得るんだな.....と思える。
それから涼子を保健室に送り届けてから教室に向かうと奈良が苦笑した顔で話し掛けてきた。
「よお。大変だったな。涼子ちゃんの大声で気が付いたけど」
「.....ああ。まあな」
「.....杉山の妹?かアイツ」
「そうだな」
そうか。
何を話したんだ?、と奈良は俺に向いてくる。
俺はその言葉に、ああ。実はな、と全てを話す。
それから窓から外を見た。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます