第3話 放課後の憩い
浮気現場を目撃した。
というのも俺の彼女の浮気現場である。
何というか他人と性行為まで及んでいる可能性がある噂が流れた。
涼子を貶したとかいう噂まで。
俺は堪らずメルを嫌悪した。
で。
俺は日直だったので放課後に黒板を綺麗にしたりの作業をする。
すると、元一、と声がした。
俺はその声に背後を振り返る。
そこにノイズキャンセリングイヤホンを嵌めた涼子が居た。
その姿に、?、を浮かべる。
「ああ。お前来たのか」
「う、うん」
俺をチラチラ見る涼子。
音に過敏である。
だから音を軽減する為にノイズキャンセリングイヤホンを着けている。
日常の生活音が結構駄目な部分があったりする。
特に夕方になると.....更に過敏になる。
まあだからこうして朝は嵌めてないが夕方に嵌める事が多い。
俺はそのキョロキョロする姿を見る。
「.....その。.....メルさんは?」
「メルは先に帰った.....というか帰らせた。俺を見ていたがそんな気分でも無いから。アイツも日直だったけど」
「そ、そうなんだね」
適当な椅子に腰掛ける涼子。
俺はその姿を見ながら黒板消しを叩く。
すると、そ、その、と声がした。
俺は、?、を浮かべてその方角を見る。
涼子が俺を見ていた。
「.....今日は一緒に居られなくてごめん」
「何で謝る?.....お前は病気と闘っているんだから仕方がないだろう」
「きょ、今日こそは絶対に一緒に居た方が良いかって思ったから.....」
「.....」
俺はその顔を見ながら涼子の額を弾く。
あう、と言いながら涼子は俺を真っ直ぐに見てくる。
その顔に、お前は配慮し過ぎだ。そんなに気にしなくて良いから、と告げる。
それから黒板消しを戻す。
チョークの位置を確認する。
そして涼子をまた見る。
「涼子。そんなに心配しなくても俺は死んだりしてないから。.....まだ生きてるから。大丈夫だぞ」
「そ、そうだね。.....う、うん」
「お前はお前自身の事を考えてほしい。他人に心配掛けずにな」
「うん」
それから涼子をジッと見る。
すると涼子の頬がみるみる真っ赤になっていく。
耳まで真っ赤になる。
何だコイツ、と思いながら涼子に、熱があるのか?、と聞くが。
そ、そんな事はない、と否定された。
「た、ただ自律神経がおかしいだけ」
「.....ああ。持病のな。.....それでか?」
「最近は何故か熱くなるから。簡単に。.....わ、訳が分からないけど」
「ふむ?」
俺は首を傾げながらその姿を見る。
涼子は目線を逸らしながら、そ、その。.....帰る?、と聞いてくる。
その言葉に、まあ掃除も終わったしな。帰るか、と言う。
それから鞄を持ってから涼子に手を伸ばす。
「.....帰ろうか」
「.....そ、そうだね」
涼子はおずおずと俺の手を握る。
それから嬉しそうな顔をする。
俺はその姿を見ながら苦笑した。
そして俺達は下駄箱に来てからそのまま帰宅の準備をしてから.....表に出る。
そうしてから俺は、!、となる。
それは何故かというと。
「.....お前は何をしている?」
「謝りに来た。.....涼子に」
「.....メル。そんな事はしなくて良いから」
何故かメルが居た。
俺達を待っているかの様に。
その姿に俺は眉を顰める。
それからメルを見た。
「.....でも.....」
「.....お前のやった行動が最悪だから。お前は地に落ちたんだ」
「ただ.....男の人と一緒に居ただ.....けなんだけど」
「無理があるな.....お前」
それでもうアウトだって言っている。
先ず彼氏に嘘を吐いているしな。
俺のメッセージに、忙しい、って書いた癖に。
その忙しいのがそれではアウトでしょう。
思いながら、謝る必要は無い、と言葉を発する。
「.....もう近付かないでくれ。俺達に」
「.....」
メルは自らの過ちを悔やむ様に。
そのまま俯いて涙を流した。
それからオドオドしている涼子を連れてからメルを残してその場を去る。
もう破綻した。
俺達の関係は全部.....破綻している。
「め、メルさんが居るなんて」
「思わなかったな。.....正直ずっと待っていた様だが。相手をする気にならない」
「.....そ、そうだね」
「.....すまないな。不愉快なものを見せて」
「い、いや」
正直言って若気の至りだと思う。
何度も言うけど。
俺は.....何故喜んでメルと付き合ったのか.....。
後悔に値すると思う。
考えながら俺達はトラックの音とか気を付けながら家に返す。
涼子をビックリさせたらいけない。
生活音で、であるが。
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