真相_Ⅱ
──…ノイズが強くなると同時に、二人の意識は現実から切り離されてゆく。
ピシャン…
ピシャン……
意識が切り離されて苦痛から逃れた途端、静けさが二人を囲み、滴り落ちる水の音が心地良く微睡みへの道を拓く。
然し強烈な眩さが世界の闇を晴らした時、二人の明瞭な自我と容貌は再び形成され、少しずつ辺りの様子がはっきりと浮かび上がってくる。
──場所はとうの昔に忘れた。けれど、俺達は『彼』に会おうと持ち掛けた。ちゃんと話す為に。
そして『彼』をこの世から消し去る為に。
許せなかったんだ。とにかく、俺達が幸せなのは事実だけど、『彼』の存在が邪魔で邪魔で、仕方が無かった。
『彼』がまだ存在している。その所為で俺達はまだ不幸だ。
好きなゲーム、愛するミヌちゃん。オクタフレンズ。
俺達は群衆だ。たかがウジ虫1匹なんて敵じゃない。俺達で掛かって殴り続ければ、こんな奴程度容易いんだ。
けれど、それでも俺達は許せなかった。
わざわざ人通りが少なくて目撃者が出る可能性もほぼ無い時間帯、場所を考えた。
ミヌちゃんとハニハニは怯えていたけど、シュシュちゃんとロキ君だけはちょっと違った様子だったのを覚えてる。
シュシュちゃんはとても楽しそうで、
ロキ君は納得した様子だった。
けど、ミヌちゃんとハニハニ、ロキ君はあくまで俺の冗談だと思って乗ってはこなかった。唯一、シュシュちゃんだけは異様にやる気を出していた。
けれど…
けれど俺は、シュシュちゃんと話を進めて、決行の日が近づくにつれ、怖くなった。
「殺せるのか?」「失敗する」「人殺しになんかなりたくない」こういう考えが俺の脳内を占め始めた。
それでもシュシュちゃんの意思は揺らがなかった様だけど。
俺は自分がヘタレだなぁって少し嫌になった。でも、唯一乗り気になっているシュシュちゃんが本気の顔だったから、もう俺はどうにでもなってしまえってなりつつあった。いや、もうなってたのかも。
そうしてさ。とうとう来ちゃったんよ。──思えば、引き返せたはずなのに。
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