無機の夢_Ⅵ

──それぞれの路で問題無く進む者、『真相』に触れたという疑いから仲間を殺した者がいる一方、オクタと水狗ミイヌは少々ぎこちなさそうながら、互いに男女を意識し合って進んでいた。

あの突発的な行為から二人は既に放埒の一途を辿り始めていたらしく、性的な快楽を知ってしまった二人は事ある毎にを繰り返していた。

オクタが勃起すれば、水狗がそれを抜く。

手や口での奉仕で済まなくなれば、オクタは容赦無く水狗の膣内に自らの陰茎を挿入した。


避妊具も無い。けれど一度知ってしまった強い快楽を思い出す度男は女を求め、女は男に組み敷かれる。

最早セックスをする気持ち良さで二人の思考は崩れ、水狗は中出しされたオクタの精液すら掻き出すのも面倒になり、妊娠を恐れる癖に構わずオクタの勃起する陰茎を膣内で包み、子宮口で精液を受け止めていた。






…そんな事を繰り返しながらの進行だった為、一向に出口が見える様子は無く「どうせ時間掛かるだろ(^ν^)」という理由からオクタも水狗も下着を脱ぎ捨てて、下半身だけ露出した状態でのろのろと路を進んでいた。

何度も抜いては挿入、射精を繰り返している所為で、オクタの陰茎も水狗の膣内も互いの精液と愛液の混ざったものでドロドロとしており、緩んだ蛇口の様に精液も愛液もトロトロ垂れ流していた。


「ミヌちゃんさぁ…いいの?掻き出さないと妊娠しちゃうよ?」

「もういいよ…面倒くさいし……おっくん、どうせまた中出しするでしょ」

「そうだね……」

こんなやり取りももう何回目だろうか、と考える余裕などは無い。


ただただ性の快楽に堕ちた二人のその手は互いの性器を弄り合いながら、抜きたくなった時に繋がり、そしてまた性器を弄り合い…と、路を進む間にとことん爛れた状態になってゆく。

──二人の足取りが重いのも、快楽に貪欲な本能が出口を目指す事を拒んでいるからなのかもしれない。

或いは、合流した時に自分達の状態を見た仲間達が見る目を恐れているからなのか。




「──…あー…逃げ出してぇな…ミヌちゃん、今から引き返してさ…誰にも見つからなさそうな所でずっとヤり続けない?」

ちらりと水狗を見る。

「…ハニさん達待ってるからダメ」

水狗は言葉を絞り出しながら、自分本意な選択より仲間を優先した。

「…そっか」

オクタは水狗が今の自分より大分しっかりしている事に少し驚きつつ、そうだよなと考え直す。




然しそれでも止まらない互いの手と行為。











(駄目だ…駄目だ…ミヌちゃんとセックスしたい…正直カミサマとかどうでもいいや…ミヌちゃんとずっとセックスしたい…ミヌちゃんに中出ししてえ……ミヌちゃん…ミヌちゃん…ミヌちゃん…)

この間で堕落に堕落し切ったオクタの脳内は既に水狗の事ばかりであり、水狗への種付けと射精欲に塗れていた。






「つか…タンマ…ちょっとさ…休もうぜ……」

数度の射精での負担と性器への刺激を受けながら進む負担とで疲労困憊気味のオクタが壁に手を付いた途端、フォンと奇妙な音が鳴る。


「え?」


何事?と自覚する間も無く、壁に突如開いた空間へ吸い込まれてゆくオクタ。

「えっ?」

「やべ…!ごめんミヌちゃん!」

「ぁっ、ん、お…おっくん!?」

水狗の膣から指を引き抜くと、今度は自分の陰茎を弄っていた彼女の腕を取って道連れにしてしまった。

「きゃーっ!」

まともな思考も働かせられない二人は、言い争う事も無いままただ暗い空間の中へ落ちていった。

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