焚べられた命

無機の夢_Ⅰ

「……静かだ…」






──無機質な扉は壊れて開いたままであり、機構を構築するものの殆どは植物が這い、覆っている。

最早廃墟そのものだが、此処は確かに『楽園』だったのだ。

「なあシュシュちゃん、本当に『カミサマ』ってのに会ったのか?」

オクタは心の中で抱えていた疑問を今更本人に訊ねる。

「嘘じゃないですよぉ♪わたし、ほんとうに出会いましたもん♪」


「わたし、いい子ちゃんですから♪」という付け加えられた台詞を軽い気持ちで受け流しながらも、友人へ対する当たり前の感情で彼女の言葉を信じ、密かに全幅の信頼を寄せる事にした。






そんな彼女から、皆を呼び止める声が発され、オクタ達が皆シュシュの顔を見る。

「先に進むのは構わないんですけど、まだ生きてるセキュリティシステムがあるかもなので気をつけてくださいねー」

ちゃんと言う事聞かなきゃ、めっ!という態度をしながら彼女は皆に注意を促した。


「…生きてるシステムがどんなものなのか把握しきれてないので、もしシステムに気付かれちゃったり引っかかったら何があるかわからないですし、わたしも助けられないかもですから」

そう言うシュシュの表情は、心無しか悔しさや悲しさを宿している様だった。

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