眠る『楽園』_Ⅱ
──準備を終え、身なりを整えたオクタ達は先に外に出たシュシュの元へ向かう。
「おまたせー!」
「もう準備はいいんですか~?」
「ああ、もう出来たよ。行こうかシュシュちゃん」
「は~い♪」
手を上げて子供の様に元気な返事をすると、上着のポケットから少し大きめのぬいぐるみが付いた鍵を取り出す。鍵は車のだろう。
「あ!それってもしかしてモモイロップイヤー?」
鍵に付いた桃色のウサギのぬいぐるみキーチェーンを見て興味津々なHONEYの様子をにこにこしながら「ですです♪」と返し、プランプランと見せびらかす。
「これ手作りなんですよ♪」
「へーっ!シュシュちゃん手先器用だね!すごいすごい!!」
「ぇへへっ♪わたしは何でも出来ちゃいますから♪」
…と、女性ならではの会話と側にいる皆の存在に記憶の中の日々を思い出して、オクタは懐かしさと喜びを覚える。
「──なあシュシュちゃん、『楽園』の場所って分かるのかい?」
不意にオクタがシュシュに訊ねるが、彼女は当たり前だと言わんばかりに自信有り気な表情を浮かべ、
「もちろん、時間かかるかもだけどすぐ着きますよ♪」
と返した。
彼女が鍵を差し込み、エンジン音が響き始める。
「全員揃った?」
オクタの一言に一同全員が応える。
「大丈夫みたいですね~?…じゃあ、行くます!」
全員の応えを聞き届け、かつて流行ったキャラクターの言葉遣いを真似し、シュシュはハンドルを握り締めた。
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