世界を殺した魔女_Ⅵ
「──おい!」
あれから一日が経過し、オクタ達はシェルターでの生活がどのようなものなのかまだよく分かった訳では無い。けれどこれから暮らす場所である為、一応の把握をしようと外に出た時だった。
そんな中突然見知らぬ少年から声を掛けられる。
「?」
「おまえ、あの魔女のトモダチなんだろ!?」
──魔女。
1076シェルター、それどころか世界中からそう呼ばれているらしい、シュシュちゃんの
「おまえや他のやつも『魔女』みたいに悪さすんのか!?」
…そう言う少年は、鉄パイプを手に構えている。
「駄目だよ~(^ν^)そんな危ないものなんか人に向けちゃ~」
オクタお得意の「おどけ」で少年の警戒心を解そうとするが、却って逆効果だった様だ。
「なっ…こっち来んなよ!」
「何もしないよ~俺は君と仲良くしようって思ったの」
大丈夫だ、悪い事はしない、と語りながら少年に近付いて無害である事を信じてもらおうとする。
「──こっ、これ以上近付くな!『魔女』の仲間め!」
少年を庇う様にシェルターの住人がオクタの前に立ち塞がった。
「え…、いや俺は」
急に出てきた「自分と同じ大人」の存在に、オクタは臆して引き攣った表情に変わる。
力の弱い子供ならまだしも、「大人」が出てきてしまっては臆病で小心なオクタには到底敵わない。騒動に気付いたシェルターの住人達が、彼らの様子を遠巻きに見つめている。
「この子に何するつもりだったんだ!?…『魔女』に何か言われて……!」
「──わたし、何も言ってないですけど?」
「!──ま…『魔女』め!!」
オクタの背後に立った人物を見て、住人達は恐ろしい化物を見つめる目で震え上がった。
「まだ分からないんですかぁ?わたし、あなた達みたいな
シュシュは住人達の方をぎらぎらと睨み付けながら、手を握って開く仕草をした。
「ひっ…──」
その瞬間、住人達の目に恐れが浮かんだ。
「シ…シュシュちゃん……」
「んふふ、もう大丈夫ですよ~♪」
先程の住人達を脅す表情からパッと明るく子犬の様な何時もの彼女らしい表情に変わり、オクタの手を引いてその場から離れる。
「──なあシュシュちゃん…」
「……わたしが『魔女』って呼ばれてる理由でしょ?」
住人の目の殆ど無い閑散とした場所に入り、オクタが『魔女』について本人に問う。
シュシュはオクタの方を振り返る事はせず、自らが『魔女』と呼ばれている理由を静かに語り始めた。
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