世界を殺した魔女_Ⅴ
「──360とちょっと!?」
突如として知らされたシュシュの年齢。
「そうですよ?わたしの、360とちょっとの誕生日です」
「いやいや、いや、いや……有り得ないって、普通の人間の寿命、知ってる?(^ν^)」
何かの冗談だろう、とオクタは反射的におどけ返す。
「……ふふん、まあ信じられないでしょうね。でもほんとの事なんですよー」
「だ、だって私達は
やや鼻息を荒くしながら胸を張っているシュシュに対し、アルコは信じられなさそうにしている皆より進んで戸惑いを含んだ言葉を語る。
「──おばあちゃんだと思いました?まあ、年齢で見たらそうかもですね♪だけどわたしはみんなの知ってるシュシュですよー♪」
「そういう事じゃなくて」
「ああ、みんなと変わらない見た目の事ですね?──ふふん、心してお聞きください!なんとわたし、『カミサマ』に選ばれちゃったのです!」
張っている胸が更に誇張され、鼻息がもっと荒くなる。
「──わたしは『カミサマ』に選ばれた恵みれた存在。シェルターや世界中の
だからずっと360年前の姿でいられるんです♪と返され、一同は唖然とする。
「……でも、わたし、さみしかったぁ…」
急に涙を零し幼子の様に涙を拭う仕草をしながら、シュシュは続ける。
「…わたし、みんなも選ばれたのかと思った。同じ犬好きのスゥヌさんや、みんなと同じ仲良しのレイグーンさん達も、わたしと同じ『カミサマ』に選ばれておんなじになれたのかなって……」
くすんくすんと鼻を鳴らし、泣き腫らしの真っ赤な顔を向ける。
「でも…あなた達や他のみんなはわたしと違って、ずっと生きられなくて、だからみんな冷凍保存して……長かったけどやっと会えた…!やっとみんなと一緒になれるんだって…!」
ひとしきりくすんくすんと泣いた後、まるで決意的な意思を帯びた勇者の様に、シュシュは上を見上げる。
「だから…わたし……みんなの保存されてる施設を回って…目覚めるのを待ってました。みんなが目覚めたら…わたしを選んだ『カミサマ』のいる場所へ連れて行って……みんなをわたしと同じにしてもらうんです…!」
吹き抜け天井から差し込む光が、彼女の中に生まれた決意を悲壮的で
「待て待て。俺達が冷凍保存されてる施設に顔出してたのか?じゃあ何で外から俺達の事出さずにそのままに?」
彼女の言葉に違和感を持った
「……あっ」
唐突な疑問に軽い挙動不審の振る舞いを見せたが、シュシュはすぐにそれらしい理由を立てて説明する。
「そ、それは!外側からきゅ…急に起こしちゃうとトラブルが起きる~って聞いて…機械の説明してるモニターに書かれてるのを見た事があったから~…ぇへへ…♪」
「つまり、トラブルで俺達が目覚めなくなる可能性を恐れて敢えて触れずに見守ってたって事か?」
「そ、そうです!みんなの事、友達として心配でしたもん♪」
──痛い所を突かれ、しどろもどろになりながら説明をした事を気にしてシュシュはちらりと皆の顔を窺う。…どうやら一応納得してくれた様子であるらしく、上手く弁明出来た事への安堵で少し気が緩む。
「……そ、そういう事ですしもうゆっくりしましょ♪また別の日にちゃんと話せばいいんです!疲れた身体を休ませなきゃ♪」
誕生日パーティどころじゃないな、と判断した彼女の言葉で、一同は疲れた身体を休ませる事にした。
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