世界を殺した魔女_Ⅲ
──それからオクタ達は思わぬ形で再会したシュシュから衣服を貰い、彼女の運転する大型車に乗って彼女の暮らす「1076シェルター」へ向かう事になった。
「な…なあシュシュちゃん。俺達…ちょっと君に聞きたい事があるんだけど」
「んー?なぁに?」
ほんの少しの動揺を未だ隠せないオクタから、幾つかの質問を受ける。
「──まず、今は何年なんだ?」
「えっと、みんなが
「退廃歴?レワ歴じゃなくって?」
「うんっ♪」
──彼女の話によると、『楽園』の機構が喪われ、世界が破滅した後に生き延びた人類が新たに立て直した歴史を起点に今の歴が存在するのだと言う。
「…で、世界が滅んじまったから退廃歴っつーのね……」
それで今は退廃歴の6月13日という事か。と納得した様子の
「ん…でも退廃歴の何年なの?今は」
「えーっと…今は退廃歴300年ですねー」
「300年!?」
「です。世界が滅んじゃって歴史が滅茶苦茶になっちゃった後、生き残った人達が60年掛けて今の形に落ち着いたんですよー。それから退廃歴が始まってぇ、300年経ったので退廃歴300年。『楽園』と一緒に世界が滅んでから360年経ったんですよー?」
ぶりぶりとしたあざとい態度で一通りの説明を済ませるが、その内容を聞いてオクタ達は信じられなさそうな表情を浮かべている。
「…にしてもあんな事…ほんと、不幸な事でしたねぇ。──あ!見えてきましたよ!ほら、あれが1076シェルターです♪」
彼女が指差しした方向に、途轍もなく大きな建造物が見えている。
「あれがシェルターか……」
想像よりも遥かに大きな姿に一同は唖然とし、聞きたかった事の殆どをうっかり忘れてしまった。
「シェルターに着いたら『周りの事は気にせず』絶対にわたしに付いて来てくださいねー?詳しい事はわたしの家で休みながら話しましょ♪」
彼女は少し奇妙な事を言ったが、今のオクタ達はまともなアテも無い状態。彼女の言葉にただ従うしか無かったのであった。
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