魔女

世界を殺した魔女_Ⅰ

「外だーっ!」

友人の死という、先程起こった突然の出来事に遭遇したにも関わらずオクタは外へ出れた事の喜びを表現する。



「ホラホラ!みんな元気出せって!(^ν^)」

振り向いて後ろの友人達へおどけながらフォローする。

しかしそんな彼なりの気遣いも虚しく、友人達の表情は暗いままだった。






そんな彼等の面持ちに、オクタの表情も影が差す。

「…つってもよ、俺達じゃさ…どうしようも無かったじゃん。あんなバカでかい機械に潰されたらさ、助けられるワケ無いに決まってんだろ…」

──雰囲気に流石に心折れたのか、おどけるのを止め現実的な言葉を吐き出す。



施設から外に出る事が叶ったとはいえ、身近な者の死に直面してしまった彼等の心には重りが乗せられたかの様に沈み込んでしまっていた。

そんな彼等の所へ、一人の人間が近付いている事に気付ける余裕など有る筈も無く…











──ザッザッ、ザリッ






荒野の土を蹴る、何者かの足音。











「──…、……。」

遠くから彼等の姿を見て、ぶつぶつと何かを呟く者の姿。

歩みが止まる事は無く、彼等の姿を明確に認識すると途端に詰め寄る速度を上げて向かってくる。




ザッザッザッザッザッザッザッザッ!

土を蹴る速度が早まる。

「…!?」

炉景ロケイとアルコが遠くからへ向かってくる何者かの存在に気付いた時にはもう殆どの距離を詰められてしまっており──











──ガシッ!


「「うわっ」」





「やーん!やっと会えた~!」





オクタと水狗ミイヌに飛び付いたかと思うと、感極まった声を上げる、赤みの強い桃色の髪の女。
















「皆さんやっと目覚めたんですねー!わたしのこと覚えてますー?シュシュです!」




赤い瞳をほんの少しだけ潤ませながら、オクタ達の目覚めを歓迎する者。






──その女は、自らをシュシュと名乗った。

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