世界が死に絶えた日_ Ⅲ
男は衣類や道具を探しながら、保存機に収容されている人間を起こそうとする。
この頃になると若干拙かった言語野は回復し普通に喋る事が可能になっていた。
男の手間を省く様に大半の保存機は機能停止済か、或いは機能していても内部の人間が事切れている状態だった。
その為辛うじて存命が確認出来たものだけサイドドアを開けて内部の人間を起こすという行動を繰り返す。
──その行動で、最初に
「あれ~?ロキ君もここに居たの~!?」
如何にも(^ν^)という顔文字が付きそうな態度ではあるが、男は記憶の中にある友人の姿を確認して思わず愛称を呼びおどけてしまう。
「ん…え、その愛称…もしかしてお前…オクタなのか?」
「そうだよ~(^ν^)」
炉景に「オクタ」と呼ばれた男──改めオクタは、自分達の今の状態等について話す。
「はぁ…俺らがこの変な機械、いや
「そうなんよ~!何で俺らここにいるのかさっぱり!(^ν^)」
相変わらずオクタはおどけた調子で炉景と談笑しながら保存機の確認をし続ける。
「あ、おいこっち、生きてる奴居る」
炉景が保存機の中の生存者を見つけ、オクタも使えそうな道具を拾いながら生存者を機械から出してゆく。
「道具あったか?」
「いやねえわ、殆ど何に使うか分からんかった」
一通りの目的を達成して、二人は壁際に座り込む。
「でオクタ氏、服は」
「無い~!!(^ν^)」
…結局の所衣類は一つも見つからなかった様だ。
「…ま、仕方無えか。生存者見つかっただけ充分だ」
深い溜息の後、炉景は一服、或いは一杯飲んで過ごしたいと小さく愚痴を吐いた。
「なあ、よく見たら生存者達って俺達の知り合いじゃないか?」
「え、マジ?(^ν^)あっホントだ~!」
──何という事か。彼等が見つけ出した生存者は皆知り合いばかりだったのだ。
年月も何もかも状況という状況を正確に判断出来ていない状態ではあるが、記憶の中に唯一しっかり残っていた友人達が皆生存者であった事をひたすらに感謝する。
「オクタフレンズ復活だな」
「やった~!オクタフレンズのみんなと楽しく過ごせるぞ~!!(^ν^)」
一見したら暗く冷たい施設の中で全裸の男二人が全裸の状態で眠る、殆どが女ばかりの友人達の前で楽しそうに踊るトンチキな光景であった。
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