第19話 A進学塾2 新しい学習体系を考える

 A進学塾ではAI技術を利用して生徒一人一人の学習進度や理解度を綿密に管理し、生徒たちが様々な教科、分野において、より効果的に理解を深められるような学習体系を構築したいという。


 塾生を対象に実験検証して有効な教育体系を構築したいというのが塾経営側の意向だ。しかし、受験間近な六年生は勉強に集中させたいという講師陣の意見も強かった。


 結局、勉強に差し支えない形で実験的協力してもらうということで五年生が実験検証の対象となった。


 とはいえ、現在の五年生には、今まで通りのカリキュラムで、今まで通りの授業を受けて模試を受けてもらう。その中で時間割内容、授業進度、授業内容、科目間の分野の関連性、生徒の理解度など、さまざまなデータを収集、分析することで、より効果的な教育体系を作るということだ。


 そういうことなので、対象となる五年生は、、実際には今までの学習と異なることをさせられるわけではなく、今まで通りの学習をして、今回の学習体系の開発チームにデータを提供するだけという感じだった。


 そして、新しい教育体系が構築出来たら、早ければ今の四年生から新しい教育体系を取り入れる計画らしい。


◇◇◇◇◇◇


 システム構築を担当する麗ばかりでなく、大学院で心理学を研究している赤壁真紀あかかべまき、脳科学の研究をしている早坂徹はやさかとおるという人物もこの企画に参加していた。


 れいは何か難しい企画に呼び出されたと思い、最初は断ろうと思っていたが、社長の高村に懇願されたのと、親友の多香子たかこに誘われたこともあって渋々参加することにした。


 後で聞いた話では、社長の高村も小学生のとき、この塾に通っていたが、素行そこうが悪く、いつも怒られていたそうで、その先生に会うのが嫌だったらしい。


◇◇◇◇◇◇

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