第10話 もう一つの世界

◇◇◇◇◇◇


6月10日(土)20時50分


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 某繁華街の通りで数人の男達が言い争いをしている。近くを通る人もそちらを見ないように足早あしばやに通り過ぎて行く。


「なに言ってんだ! あ~?」


「殺されたいのか?」


 怒号が響く。数人の男達が別のグループの男数人を取り囲むようにしている。


 この辺りは夜になると些細な事件から喧嘩騒ぎ、酔っ払い同士のいざこざなど、あまりにいろいろなことが起こり警察の目も行き届かなくなる。

 以前、発砲事件が起こったこともある『夜は近づかない方がいい場所』という噂も多かった。


 ここは、時として路地裏ばかりでなく人通りの多いところでも、場所を問わず、喧嘩や凶悪な犯罪が起こる危険な場所なのだ。


 昼間はサラリーマンやOLも行き交う場所だが、夜になると外国人で溢れる。一見、日本人かと思うが日本語ではない言葉で会話しているという人達もあちこちで見かける。


 アジア圏、アメリカ、中東、南米、アフリカ……あらゆる国から人が集まる場所だ。


 時間は夜の九時。遅い時間といっても、まだまだ人通りも多い。当たり前だが日本人もたくさん歩いている。


 数人の男が鉄パイプで相手グループの男性たちを滅多打めったうちに殴り始めた。目をそむけたくなるような光景に悲鳴を上げて逃げる人たちもいた。

 頭、身体からだと殴りつけ、殴られた男たちは崩れる様にその場に倒れた。


一人がすきを見て走り逃げた。


「逃げたぞ!」


「逃がすな!」


 数人の男が後を追いかけて走って行く。


◇◇◇◇◇◇

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