第5話 次のステージへ

 まいから第一ステージのゲームのことを聞き、れいるいも動画でその一部始終を見た。舞が言う通りその回の優勝者たちは技術も作戦もずば抜けているように思えた。


麗はパソコンの画面を見入っている。第二ステージの日時と概要が発表された。


◇◇◇◇◇◇


日時 6月10日(土)21時00分


◇◇◇◇◇◇


「ねえ、舞。次のゲームの内容が発表されてる。今度は三人で参加しようね」


「本当だ。今度は夜なのね」


プリンを食べながら舞がパソコンの画面をのぞき込む。


「おいしそうね、プリン。ところで、大丈夫? その日」

麗が舞の食べているプリンを見ながら聞く。


「大丈夫だよ。何にも予定入ってないし。姉さんは大丈夫なの? 京介きょうすけさん」


「うん、このゲームのこと京介も知っててね。今度のステージは一緒に見ようかなって言ってた」


「え、ここに見に来るの」


「だめかな」


「いいんじゃない。プリン用意しとくよ。そうそう、そのゲーム当日参加するまでに参加者の登録が必要みたいだから、予めやっといた方がいいよ」

舞が思い出したように言う。


「そうなのね」


「このまえ第一ステージの時も知らずに参加してくる人もいるからなのか、始まって十五分くらい登録する時間があったよ。それから更に十五分くらい操作の仕方とか覚えながら本番前にゲームをするんだけど、このデモンストレーションゲームの点数で本番ゲームに参加できるか決まるのよ」


「上位三十組とか書いてあったね。よく残れたね」


「すごいでしょ……いや、意外といけたよ」


「でも本番のゲームでも三十組もいるのってすごくない?」


「そうね、でも始まってみると、最初の数分は混戦になるんだけど、少し落ち着いたら、だいたい一対一のチーム戦になるの。一回戦ったら、三十組が十五組になって十五組が八組くらいになって四組、二組と半分ずつ減っていくからあっという間に終わっちゃうよ」


「へえ、そうなのね」


「それぞれのチームが五回くらいの対戦したら勝ち残れる感じ。一つの対戦は五分もかからないけど、五分かかったとしても三十分くらいで全部のゲームが終わるのよ」


「あっという間なのね」


「そう、結局さあ、相手もこっちを倒しにくるし、こっちも相手が来たら戦わざるを得ないし、無駄に過ぎる時間がないのよね」


「常に臨戦態勢なのね。常在戦場か」


「あれ? ところで、これって最初に登録した名前は変えられないって書いてあるけど、舞はチームのことは大丈夫なの?」


「え?」


「いや、この前、舞は友達と参加したでしょ。今回、私たちとっていうのは大丈夫?」


「それはいいみたいだよ。個人の登録が変えられないだけみたい」


「ふうん。賞金のことは?」


「それは、たとえば私の場合、第一ステージは友達と『チームMai』で参加したから、一回目の私の取った点数は『チームMai』で計上されるの。次からお姉ちゃんたちと『チームA』で参加すると残りの九回の私の得点は『チームA』で計上される……まあ賞金は十回分のチームの合計点で決められるから『チームMai』は一回分『チームA』は九回分の得点で勝負することになるの。十回全部同じチームで参加するチームより不利になるわね」


「そうなんだ。友達はいいの?」


「いいのいいの。もともとゲーム得意じゃない二人だったし、二人とも『もうこりごり』って言ってた。」


「そう、なんか悪いことしたね」


「でもね、考えてみれば十回分のステージの合計点で上位三チームが賞金獲得なのよ……で、一位のチームのボーナス点が大きいから優勝者が絶対有利なわけだけど、毎回優勝とかありえないわけよ……なんで九回分参加で勝負するって言っても、二、三回優勝しちゃえば上位三チーム食い込める可能性大きいと思うのよ」


「なるほどね。二、三回優勝ってできるの?」

名前を登録しながら泪が聞く。


顔を見合わせる麗と舞。


「無理だろうね」

麗が言う。


「名前、登録したね。これで登録できたんでしょ」


『Louis』


「ルイス?」

舞が首を傾げながら聞く。


「ルイよ」


「じゃあ私も登録しとこ。麗はレイだから数字の『0』から取って……『Zero』ね」


「ふーん、ゲームの内容が内容だけに『ゼロ戦』みたい」


「なにそれ、じゃあ、『1』を付けて『ZeroOne』よ」


「なに? その付け足した『1』は」

笑いながら言う舞。


「意味はない」

と言って麗が微笑む。


チーム名は三人のコードネームの最初の文字を取って『LZM』でいくことにした。


◇◇◇◇◇◇


 麗は子供の頃からゲームが好きでいろいろなゲームをしてきた。しかし、このゲームは本当に今までに経験したことがないほどリアルな感じが伝わってくる。

次のステージはゲームに参加して単純に楽しみたいという気持ちだった。別に優勝して賞金を貰うことが目的ではない。


 泪もまた小さい頃からゲームが好きで麗や舞と一緒にゲームをすることが多かった。どちらかというとロールプレイングゲームが好きだったが、ジャンルに囚われずどんなゲームも好きだった。シューティングゲームも結構好きだった。


◇◇◇◇◇◇


 このゲームで使われる名前(コードネーム)を登録しておくと、マイク機能を使ってゲーム中に参加者が喋ったことが、文字としてタイムリーにテロップで流れる仕組みになっているようだ。


コードネーム「セリフ」


という形で参加者たちの会話を視聴者全員が見れる。


なんだかすごい。

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