第3話 惨敗
夕食の時間になると
都内の大学院に通う姉の
両親は仕事の関係でロサンゼルスにいる。長期の休暇には三人で両親のところに行くことも多かった。
麗には大学時代から付き合っている恋人の
麗はアルファゲイトという会社でゲームの制作に携わっている。今、業界では最大手のゲーム制作会社が手掛けるオンラインゲームが話題になっていた。そのオンラインゲームの大会が今日から開催されたのだ。
麗の会社でも調査の意味も兼ねて、できる限りこの大会に参加するよう言われていた。しかし、今日のところは京介との約束もあったことから、妹の舞に友達と参加してもらうよう頼んでいた。
このゲームは三人一組で参加することになっている。
◇◇◇◇◇◇
ゲームの概要
〇毎週末、土曜日の夜か日曜日に開催(日程はホームページに掲載)。
〇参加者は三人一組のチームで参加。個人名とチーム名を登録する。
〇登録した個人名はコードネームとよぶ。
〇最初に登録したコードネームは大会中変更できない。
〇ゲーム開始時間にエントリーしたチームがステージの参加者として登録される。
〇軍用のヘリコプターのような機体を操作して対戦する。
〇ゲームのステージは全部で十ステージ。
〇途中のステージからの参加も可。
〇対戦中は残りの機体数が見える様になっている。
〇ゲームの形式
◇ステージの形式
・参加チームで対戦し勝ち残ったチーム、あるいは個人がステージの最後の敵と戦う。
・一定時間、参加者同士で戦い生き残った者がステージの最後の敵と戦う。
◇敵の機体を撃ち落とせば一機体一ポイントが与えられる
◇ステージの最後の敵を倒した者にボーナス三〇ポイントが与えられる
◇ステージごとミッションがあるステージもある
※人数制限
ゲーム開始時間の最初五分程度、操作の確認も兼ねてデモンストレーションゲームが行われる。デモンストレーションゲームの得点上位三十組(九十人)が参加できる。
〇このゲームは観客として対戦中の様子を誰でも見れるようになっている。
〇観客は対戦者たちの会話がすべてテロップで見れるようになっている。
〇参加者同士は自分のチームの会話しか見れない。
※賞金
十ステージ終了後、チームごとの個人獲得ポイントを合計し、チームの合計ポイントで順位を決定する。
上位三チームはチームの合計ポイントを一ポイント一万円換算で賞金として付与する。
◇◇◇◇◇◇
この『人数制限』によって、かなりの参加者が淘汰される。
そして、観客は対戦者たちの『生の会話』は聞けないが、会話内容がタイムリーにテロップで流れるため映画かドラマを見ているように、対戦者たちのセリフを見ながら対戦画面を見れるというものだ。
◇◇◇◇◇◇
麗はゲームのことが気になっていた。
「ところで舞。お願いしてあったゲーム参加してみた?」
「うん。友達の優子たちと一緒に参加したよ」
「どうだった?」
「それが、こてん、こてん、ぼろ負けよ」
微笑みながら応える舞。
「みんな凄かったの?」
麗の表情にも笑顔が戻った。
「まあね。たぶん動画で見れると思うから、麗ちゃんも見てみたら? まあ結果よりゲームそのものがすごいよ。あれ」
「難しかった?」
「そうだね。でも、このゲーム今日公開されて参加者も今日初めてやるわけでしょ。第1ステージ取った人たち凄かったよ」
「そう……プロっぽかった?」
「うん、なんか最後二チームの対戦になったんだけど、相手チームが『おとり作戦』使ったのね。そんなの使う相手も凄いけど、それに引っ掛かってロックオンされたかと思ったら味方の一人がミサイル追撃して一気に敵の二機を撃墜しちゃうの。なんか映画の世界だよ。おとりの一機も仲間の一人が一瞬でやっつけちゃって……」
「すごかったんだ。それ見れるの」
「たぶん」
デザートのプリンを食べながら舞が微笑む。
「あれは
「プロのゲーマーって感じ?」
「うん、名前からして日本人だろうけどチームワークが凄いよ」
「大学生とか専門学校生?」
「うん、わからないけど、なんか世界の大会でも場数踏んでるような感じ。あのチームワークと技術と戦略は高校生とかではない気がする。なんか軍事関係のプロみたい。それに今日初めてやったゲームなのに順応力がハンパないよ。男二人と女一人みたいだけどね」
「ふうん。軍事関係者……後で見てみるよ」
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