なぜ開催できないのかわかっていない人たち(Roster No.7)

「雨だろうがゲームはできるべ」

「そうだそうだ」

「わざわざここまで来たのに、そりゃないよ」


 Roster No.7のメンバーは口々に文句を並べているが、唯一、リーダーのナカハラだけは「よかった……!」と安堵している。


「何もよくない」


 彼ら(ナカハラ除く)の想像通り、これからモバイルFPSゲームのオフライン大会が行われるのであれば、何も外の天候がどうであろうと全く関係がない。回線の不具合はあるかもしれないが、その程度である。しかし、これから始まろうとしている『ウランバナ島のデスゲーム』は違う。ゲームはゲームでも、スマートフォンの中で行われる殺し合いではないのだ。


「お前ら、焼肉食いに行くぞ! 俺が奢るから!」


 ナカハラの発言で、男子高校生三人が沸き立つ。


「まーじ?」

「いつもは割り勘なのに、太っ腹すぎね?」

「そうだべ。頭でも打った?」


 これから『ウランバナ島のデスゲーム』の開会式が行われる予定だった会場を、一足早く出ていきレストランフロアへ向かうナカハラと、それを追いかける三人組。会場内には参加者たちに『ウランバナ島のデスゲーム』の開催が中止となった旨のアナウンスが流れていた。

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