僕の家の周りでデスゲームが開催されそうになっていたけど雨天中止された件

秋乃晃

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 ガラス窓を風雨が叩いて、その騒がしさによって目を覚ました真柄レン。


「ん……?」


 家の中の様子がおかしい。枕元に置いていたスマートフォンがない代わりに、今日日きょうび我が国ではあまりお見かけしないような物体、拳銃やら弾倉やらが転がっている。自分の所有物ではない。自分の所有物でないものが自分の部屋に撒き散らされているのに、明確に自分の所有物であると断言できるスマートフォンはない。


「あれっ?」


 ベッドの隙間や、下の空間を覗き見る。ない。こういう時はパソコンなどから『Find my device』すると、スマートフォンの方からけたたましく着信音が鳴るので探すのも容易なのだが、はて、パソコンはどの段ボールにしまっただろうか。


 昨日荷造りをして、今日引越しをする予定だったのに、引越し先が間違っている。としか言いようがない。窓の外の景色は大嵐。ではあるが、引越し先として予定されていた場所から見える景色ではない。スマートフォンはないし、家の中で他人と連絡がつくようなものがない。だからといって外に出るのも気が引ける。外に出たからといって公衆電話が都合よく見つかるとも思えない。


「テレビでも見るか」


 慌てていろんなものをひっくり返すよりは一旦落ち着きたいので、テレビの電源を入れる。画面には、見慣れた顔が映っていた。


「真柄! 聞こえているか!」

「クマ!?」


 そのテレビの横に置いてあるフォトフレーム、の中の集合写真にいる、佐久間タスクことクマだ。引越し前の高校の担任である。クマは空港のような場所にいて、鬼気迫る表情を浮かべていた。


「必ず助けに行く! だからこの嵐が去るまでは耐えてくれ!」

「えっ、えええ、ええ」


 画面と窓の外を交互に見る。

 雷がゴロゴロと鳴って、様相は激しさを増していた。

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