青春のペンフレンド～手紙の絆、恋の始まり～

手紙.....まぁ、書いてみるか

　さて.....どうしようか。

　5月になってもやむ気配のないこの手紙、教習所とかも終わってひと段落したから改めて確認しても俺宛に差出人不明のこの手紙。

　結構俺のことについてかなり書かれている気がするのは自惚れではないと思う。そうだよね？そうじゃなければ来ないよね！？

　それにしても、なぜ差出人のところを塗りつぶしたりするのか.....それもあるし、告白したいのかどうなのかもわからん。

　なにより、

「これを相談する相手が現状俺にはいないという悲しい現実がなぁ」

　そこなんだよ。

　これ自体をどう対処すればいいのかということすら誰かに相談するというか、そもそもそういった相手ができていないところが.....な。

　考えて悲しくなってくる。

　.....そう考えると本当にこれを書く奴は何を思って書いているんだか、理解が全然できん。

「とはいっても、ここずっと送られてきている以上何かしらのアクションをしたほうがいいってのは確かなんだよな」

　じゃないと、相手もずっと書いていることだろうし.....。だから便箋とかも買ったわけだからなぁ。

「でも、何を書けばいいんだ？こういうのは？」

　俺自身ラブレターをもらうのは初めてだし、手紙でのやり取りなんて今までやったことないしなぁ。

　当たり障りないこと書くべきなのか.....つーか誰か聞いたほうがいいよな.....というかなんでこんな手段でやってんのかとか.....考えただけで書き連ねることはいっぱいあるんじゃんけ。

　あとはどう文章にすればいいんだろう？

　.....調べるか。

　俺は初めてながらも四苦八苦しながらも手紙の書き方や文章の構成なんかを必死に考えて人生初めてかもしれない手紙＿それもラブレターの返信を書いてみた。

　途中、納得がいかず何度も消して書き直したりした。便箋も新しく変えたりして手直しをしてみたりと、やってみたら結構根気が必要だった感じがあった。

　なんやかんやで書き始めて3時間半ぐらいが経った頃

「......うーん、こんな感じでいいかなぁ？」

　俺なりのお返しの手紙ができた。ただ、まぁ納得はいってない。なんせ初めてなんだからさ、これで相手に伝わるのかどうか、それに相手にどう受け止めてくれるのかとか。書きあがってからいろんな不安が一気に押し寄せてきた。

「これを書いたやつもそんな思いをしてたんかなぁ」

　.....そう考えると、この手紙たちも無下に扱うのはどうかと思っちゃうよな.....。

　ま、とりあえずはこれで相手に伝えることにしよう。

『名もなき君へ

　春が終わり、少しばかりの湿り気を感じる頃。貴方はいかがお過ごしでしょうか？

　先日からのお手紙、拝見させていただきました。

　私はあなたからのお手紙をもらってから、しばらく疑惑と疑念がずっと心の中をかき乱しております。

　貴方にとって、私という存在がどのような影響を及ぼしているのかも私には到底理解ができません。なぜなら、私は貴方のことを全くわからないからです。

　名前も知らなければ、どのような方なのかすらです。

　貴方からの返事がなにもできないということに私は少しばかり申し訳ないという思いが沸きました。ですので、私も貴方のその勇気ある行動に少しばかり影響を受けこのような手紙を書かせていただきました。

　この手紙が貴方にとって良い行動であることを私はただ祈るばかりです。

　貴方への少しばかりの申し訳なさを込め、斉藤耕平より』

　.....で、これどうやって渡せばいいんだろう？