新しいことを始めよう


 昼休みが過ぎてまた放課後まで時間が飛んだような.....それほど何もすることなく時間が溶けてしまった感覚だ。


 昼休みに調べた通り、この学校ではアルバイトや資格取得なんかも問題ないそうなのでせっかくのことだから社会経験をすることにした。

 田村先生にも相談して、とりあえずの許可を得ることができたが


「斉藤君大丈夫?あんまりしゃべっているような印象がないけど、交友関係はできてるの?」


 と、心配されてしまった。

 確かに、入学してからすぐにアルバイトの話をするなんてどうかと思われるんだろうな。


「ま、まぁなんとかって感じですね。今年中にバイク免許とって、いろんなところに行ってみたいので.....」

「あら、そうなのね。どんなところに行きたいのかしら?」

「そうですね、親父に連れて行ってくれた伊豆とかは一周してみたいですね。自然の景色がとても美しい印象が残ってますよ」

「いいわね。.....目標があるならいいわ。ただ、せっかくの高校生活なのだから一人でもいいから話せる友達を作っておくと楽しいわよ?」

「......ま、そうですよね。でも、楽しいですよ。本当に」

「そ。それならいいわ。何かあったらまた相談してね。私は貴方の先生なのですから」



 そんな感じで田村先生との話が終わる。

 田村先生はかなり生徒懇意な先生なんだろう。この一週間会話自体が少なかった俺のことをよく見ているというかなんというか.....。まぁ、俺自身としてはとてもありがたいことだと思う、うん。



 というわけで先生の許可をもらったこともあり、アルバイトをすることにした俺。

 母さんにも説明したが


「あら、いいわよ~」


 の一言、さすが母さんというほかない。







 そこから3日が経過した。


 何か変わったことと言えば新しく始めたこととしてアルバイトを始めつつ、放課後や土日の少ない時間にバイク免許を取得するための教習所に通うことにした。


 なんで、この時期から始めたのかそれは親父の一言というか半強制だったな。

 どうやら親父曰く


「高校生活の後半なんて受験とか就活とかで忙しくなるだろ?部活もまだやる気ないんだったら早いうちに免許でも取ってこい。母さんから聞いたぞ、アルバイトするんだってな。だったら先払いで教習所の代金は払っておいてやるから.....使ってない俺のバイクでももらってくれや」



 だってさ。うちの親父ってぶっきらぼうに言うけど話している内容自体は納得がいく。けどさ、うちの親父が持ってるのってNINJA400じゃなかったけ?

 調べたけどあれ普通二輪で免許取らなきゃいけないじゃん。

 早生まれだからもう免許取得できる年齢なんだけども.....まぁ、親父の好意には感謝しないとな。


 翌日には田村先生にも許可もらったことだったので、新しくアルバイトと教習所に放課後通うことにした。



 なんだかんだで新しいことに挑戦することにワクワクしている自分がいるよ。








「......なんか、忘れているような.....まぁいいか」


 そんなわけでまた一週間が経過することとなったのだった。

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