置いてかれた。


 入学してから一週間が経過した。

 この一週間いろんなことをしていたが、俺は大事なことを忘れていた。


 交友関係が構築できていないところだ。

 高校一年生の最初の一週間なんてほとんど交友関係を築くことに時間を費やしたりするだろう?そのあとの高校生活だって大きく変わるんじゃないのか、そこまで大事なことだと思っている。エビデンスは俺の中学時代ね。



 その経験があったのにもかかわらず、最初のスタートを趣味に走ってしまった。





 その結果がこうなった。


「おはよう、美咲」

「あ、おはよう!あやめ、今日から授業だよ!ちょっと楽しみ!」

「相変わらず元気ね」

「あ、藤田さんも!おはよう」

「ええ、おはよう」


「おう!優太、部活動はどうするんだ?」

「おはよう、智也。とりあえずサッカー部かな?中学でもやっていたし」

「そうだろうなぁ。お、真一。お前は何部に入るんだ」

「あ、うん、優太君。.....僕はまだ考えているところだよ」






 と、ここまでの朝のホームルームが始まるまでの時間の様子がこんな感じだった。

 .....全部俺の会話じゃない。この教室内で響く会話の一部が聞こえてきたものだ。.....入ってきてから一切しゃべっていないんだけど、俺。


 いやぁ、完全においていかれたな俺。

 ま、まぁいいか。そのうち話しかければいいかな。皆盛り上がっている中に急に初めましてとかもどうかと思うし、この際ホームルーム始まるまでゆっくり休むことにしよう。うんそうしよう。



 俺はイヤホンを耳につけ、音楽の世界へ逃げることとした。

 あ、いや逃げてなんかないぞ?昨日遅くまで起きていたからな。わりかし眠いんだ。



「......誰に言い訳してるんだか」



 そんなことをつぶやきながら、俺は一人夢の世界へと旅立っていった。





「......」







「......きて」

「...、..起きて」



 .....ん、なんか揺れてる?

 ゆっくり瞼を開いてみると、隣の席の女の子_藤田さん.....だったよな、が起こしてきた。



「......ん、あぁおはよ。藤田さん」

「おはよう、そろそろホームルームの時間よ」

「あ、あぁ。ありがとう」

「.....ん、どういたしまして」



 藤田さんに起こされたけど時間を見ると確かにホームルーム5分前だった。なんだかんだで仮眠とれたな。


 にしても、藤田さんも会話するんだな。

 隣の席の藤田さんも近くの人と話している。.....物静かな文学少女のイメージがあったけど違うんかな?


 ま、俺には関係ないかぁ。



 そんなことを考えていると


「はーい、皆さん席についてくださいねー。ホームルームをはじめますよー」


 田村先生が入室して、教卓に立つ。



 その一声を聴いた生徒たちは自分たちの席に着席する。




 それを確認した田村先生は




「.....はい、それではホームルームをはじめますね!今日も一日頑張りましょう!」



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