そして1週間後
俺が蒼雲高校に入学してすでに1週間が経過していた。
この一週間は授業という授業がなかった。
その代わりに学校を探索する期間となっていた。
そもそも、この高校バカみたいに広大なためゆっくり校舎紹介するだけでもまぁ時間がかかるとのこと。
それって、移動授業の時とかって間に合うのかなぁ?
まぁ、それは実際に授業が始まってからだな.....。
学校紹介や部活勧誘活動にオリエンテーリングなど、新入生を歓迎するためのイベントがいろいろ開催されていた。
蒼雲高校は自由を校風としているようで、学生イベントが色々とやっているらしい。
さらには学校内に様々な自然を堪能できるスポットがあったりするので学校探索だけで一週間かかることはまず間違いないことだった。
かくいう、俺もそうだった。
いろんなところを探索して、静かでそれでいて綺麗な場所を見つけたいなと思った。
個人的なお気に入りスポットも一週間のうちに一つは見つけられた。
それは、まぁ広大な校庭にそこそこ歩けば校庭の端には砂浜があり、青々とした海が広がっている。
少し鬱蒼とした木々を歩いていくと、白い砂浜が見え青々とした海が見える。
壮大で静観できるこの景色に心休まる。
.....まぁ、昼休みぐらいしかいけないんだけどさ。
時間割は普通の高校と同じく6限ある。その間も休み時間に昼休憩、最後には放課後がある。しいていうなら移動時間分の休み時間が設定されている。
まぁ、教材自体がタブレット2台だけだから移動教室が連続したって問題なく間に合いそうだよな。
結局そんなこんな学校探索などをしているうちに、この1週間が経過して今に至る。
そう、最初の自己紹介を終えてからの一週間綺麗な景色を観るために外のほうを探索していた俺が唯一失念していたこと.....。
それは、俺そういえばだれかと話したっけ?
である。
なんだかんだ一週間あったけど、基本はHRだけであとは学校探索がメインとなっている。隣の席になっていた藤田さんなんてホームルームが終われば1人図書室行ってたし.....。
挨拶する程度、会話らしい会話をすることもなく最初のスタートダッシュを切ってしまっていた。
それに気づいたのは一週間の景色探索を終えて、自室で満足しきって次の月曜日になるころの話であった。
で、今に至る。
「......あぁ!.........あーあぁ.....また独りだ.....」
ほんと、自分の趣味をのめり込むと忘れてしまうんだよ。
中学のころも同じようにいい景色を眺められる場所を探したり、写真撮ったり、スケッチをしたりしてたら周囲のコミュニティに溶け込めず、一人静かな三年間を過ごすことになってしまっていた。
高校では同じ轍は踏まないようにしようと思っていたのに.....また同じことをしてしまった。
こっからの高校生活まじでどうしよう.....。
そんなことを思いふける高校生デビュー失敗の俺だった。
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