天使達
ハイルデザートにある王宮の一室。
その部屋のあるクリスタルから何かが形成される。
それはある大きさになった瞬間明確な形を成す。
「ククク、我復活」
ミザールは体を構築し、そのまま立ち上がる。
そしてマナの吸収を開始する。すると部屋のクリスタルからマナがミザールに吸収される。
「全く、エルメスにあの精霊の事を伝えるか悩むな……」
そう独り言を呟いた時、部屋の扉が大きく音を立てて開かれる。
「言え、ミザール。拒否権は無い」
「エルメス……なるほど間が悪い」
「質問に答えろ、その精霊とはなんだ?」
「特別だぞ。先、肉体を持った精霊と合った」
「何?それは本当か……?」
「嘘は言わんぞ、それよりエルメス。悪い知らせがある」
ミザールの言葉にエルメスは眉間に皺を寄せる。
「なんだ」
「ラプラスの悪魔、逃げたぞ」
そう聞いた瞬間、エルメスがミザールの胸倉を掴む。
「貴様、何をしていた」
だがすぐに胸から手を放すと冷静さを取り戻すように息を深く吐いた。
そしてミザールに聞く。
「訃報が二つとはな、ふっ今ここで死ぬか?」
「止めてくれ、我は先死んだばかりだ」
「私も冗談と言いたい所だ」
「貴様がここから蘇ったという事は負けたんだろうその精霊に」
エルメスは怒りを抑えながら手を放す。
「ラプラスの悪魔についてはこの際どうでも良い」
「なに?」
「その精霊を殺す事に心血を注げ、もしその精霊が他の生物と関わっているのならそいつも殺せ」
「そうしたいのは山々だがエルメス。我はその精霊を殺せん、その精霊は我々天使を超えた力を持っている」
「体感した力はあの男、ジーク・ドームゲートと同じ……勝てる気がせんというやつだ」
「何度目の冗談だ?聞き飽きたぞ」
エルメスはミザールを睨む。
「だが事実だ。我より貴様が適任だろう。恐怖の天使」
エルメスはミザールの胸倉を掴んでいた手で拳を握る。そしてミザールに問う。
「その精霊とはどんな容姿をしていた?」
「名をアリュージルベスと言った、容姿は幼い子供のようだった」
「そうか……ならいい、もう行く」
「クク、気が変わったか?エルメス」
「ああそうだ、貴様のくだらん冗談よりよっぽどやる気がでる」
部屋を出たエルメスは独り言を呟く。
「多忙になりそうだ」
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