悪魔の行方
決着はついた、セトは立ち上がれずにいるようだ。
シータはセトのそばまで歩みを進める。
「おい、俺を助けろクソガキ」
笑みを浮かばせながら、状況を分かっていないようなセリフを吐く。
「俺は自分の命欲しさに言ってんだよ、他意はねえし。負けは負けだと認めてやる」
「助けると思ってるのか?」
「思ってねえよ。でもな、俺が生きてりゃ手を貸せる。血肉を喰らうよりずっと合理的だろ」
セトはそう言った。
「信用できるか?人の話を聞かずに襲い掛かってきた奴を」
「いや、飲もうかその提案」
言ったのはアリューだった。
「アリュー?流石にこいつは」
「まあまあ、こんな時は契約魔法を使えばいいんだよ。ねえ」
「ちっ分ーったよ、やるならなる早だ」
「そうだね【契約】」
「今、我契約を結ぶ。契約は治療。破れば罰その罰は痛みとする」
「我、契約を受ける。契約は服従。破れば罰その罰は自死とする」
「契約成立だね」
そう言い終わるとアリューはセトに回復魔法を使い、吹き飛ばされた足さえも直してしまった。
「私はお前を許さない。話を聞かなかった事はともかく、ママの事は絶対に」
「……わーった悪かった。話ぐらい聞いてやる」
「話してやる気も無くなった」
その後、アリューが話を少ししてセトは元の住みかにかえっていった。
★
私とアリューは拠点まで戻っていた。
「シータ、戻ってきたんだ」
「うん、終わったからね」
「え、そうなんだ。私も会いたかったなシータのお父さん」
「合えばムカつくだけ、とんでもないクズだった」
「そっか」
それからは二人で話をしていたら時間が過ぎて行った。
少しして、エヴィリーナに話があると呼び出された。
「一つ伝えなきゃいけないことがあるわ、と言っても直接的に関係ある事ではないんだけど」
「なに?」
「もうすぐ戦争が始まるわ、正確には三か月後、エルフが人間の国に攻め込むの」
戦争、エルフ達が……
「それで、エヴィはどうしたいの?」
「どうもしないし、どうもできない。勝算はあるみたいだから」
「そっか」
そして話が終わり、エヴィは部屋を出て行った。
★
その後私はアリューを探してた、理由は拠点の何処にもいないから。
どこか出かけたのだろうか?でも何処に?
★
「セト、居るかな?」
「んあ、あん時の精霊か。何用だよ、言っとくけどイラついてねえと思うなよ」
「態度に気を付けなよ、まあ少し話をしたいだけさ」
森の中、セトの転移魔法を追ってここまできた。
「なんの用だよ」
「知ってるだろ、ラプラスの悪魔を」
「そりゃまた、随分な名を出すじゃねえか。なんで俺がそいつの事を知ってると?」
「君の記憶を見た、そこに映っていたからな」
「記憶を見たって、なら全部わかってんだろ」
「そこまで万能じゃない、記憶には引き出しがあるんだ。しまってある記憶は見れない」
「それを思い出させるために質問をする」
「さあ質問に答えてくれるかな。あいつは今、何処にいる」
「まあ、知らねえ中ではねえよ。そうだな、契約を解けさえすれば教えてやるよ」
「服従だろ、まあ契約は解いてあげよう。そうすれば教えてくれるんだろう」
セトは少し驚いた表情をした。
「……随分素直だな」
「ああ、あの子も君を頼ろうとはしないだろうしね、問題はないから」
「はっ、じゃ早速やってもらうぜ」
セトはそう言うと詠唱を始める。
「【契約破棄】」
「我、今契約を破棄する。求は同意」
「我、破棄への同意を提示する」
セトとアリューの間に現れた鎖のようなものが弾ける。
「これで契約は終わりだな、あー得した得した」
「さて、ラプラスの話だな。アイツは今、罰を受けてる。精霊のその身を悪魔に堕とした罰をな」
「罰?ラプラスは今どこに?」
「そのラプラスから聞いた話だと「私はある者に追われているそしてきっと罰を受けるだろう『ハイルデザート』で」とか言ってたな」
「ハイルデザート、何か聞いていいかな?」
「全ての物に霊が宿る場所、ってしか聞いてねえな。てかお前も精霊だろ、何でお前の方が詳しくねえんだ」
「僕は交流が少ないんだ、そのおかげで知識量もね」
ハイルデザートか、まあ一歩進展か。
「てか、お前か。ラプラスが追ってた精霊は」
「さあね」
「それともう一つ、何でその場聞かなかった?あのクソガキに聞かれたらいけない話なのかよ」
「決着は僕が付けるべきことだ、あの子にまで背負わせる事は無い」
「けっ、そうかよ」
僕はセトに礼を言うと転移でこの場を去った。
ハイルデザート、そして罰、何が起こってるんだろうか。
調べないといけない、しばらく空けることになりそうだね。
やることはやってあるし大丈夫でしょ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます