悪魔の行方

決着はついた、セトは立ち上がれずにいるようだ。

シータはセトのそばまで歩みを進める。

「おい、俺を助けろクソガキ」

笑みを浮かばせながら、状況を分かっていないようなセリフを吐く。


「俺は自分の命欲しさに言ってんだよ、他意はねえし。負けは負けだと認めてやる」

「助けると思ってるのか?」

「思ってねえよ。でもな、俺が生きてりゃ手を貸せる。血肉を喰らうよりずっと合理的だろ」

セトはそう言った。


「信用できるか?人の話を聞かずに襲い掛かってきた奴を」

「いや、飲もうかその提案」

言ったのはアリューだった。

「アリュー?流石にこいつは」


「まあまあ、こんな時は契約魔法を使えばいいんだよ。ねえ」

「ちっ分ーったよ、やるならなる早だ」

「そうだね【契約】」


「今、我契約を結ぶ。契約は治療。破れば罰その罰は痛みとする」

「我、契約を受ける。契約は服従。破れば罰その罰は自死とする」

「契約成立だね」

そう言い終わるとアリューはセトに回復魔法を使い、吹き飛ばされた足さえも直してしまった。


「私はお前を許さない。話を聞かなかった事はともかく、ママの事は絶対に」

「……わーった悪かった。話ぐらい聞いてやる」

「話してやる気も無くなった」

その後、アリューが話を少ししてセトは元の住みかにかえっていった。



私とアリューは拠点まで戻っていた。

「シータ、戻ってきたんだ」

「うん、終わったからね」

「え、そうなんだ。私も会いたかったなシータのお父さん」

「合えばムカつくだけ、とんでもないクズだった」

「そっか」

それからは二人で話をしていたら時間が過ぎて行った。

少しして、エヴィリーナに話があると呼び出された。


「一つ伝えなきゃいけないことがあるわ、と言っても直接的に関係ある事ではないんだけど」

「なに?」

「もうすぐ戦争が始まるわ、正確には三か月後、エルフが人間の国に攻め込むの」

戦争、エルフ達が……

「それで、エヴィはどうしたいの?」

「どうもしないし、どうもできない。勝算はあるみたいだから」

「そっか」

そして話が終わり、エヴィは部屋を出て行った。



その後私はアリューを探してた、理由は拠点の何処にもいないから。

どこか出かけたのだろうか?でも何処に?



「セト、居るかな?」

「んあ、あん時の精霊か。何用だよ、言っとくけどイラついてねえと思うなよ」

「態度に気を付けなよ、まあ少し話をしたいだけさ」

森の中、セトの転移魔法を追ってここまできた。

「なんの用だよ」

「知ってるだろ、ラプラスの悪魔を」


「そりゃまた、随分な名を出すじゃねえか。なんで俺がそいつの事を知ってると?」

「君の記憶を見た、そこに映っていたからな」

「記憶を見たって、なら全部わかってんだろ」

「そこまで万能じゃない、記憶には引き出しがあるんだ。しまってある記憶は見れない」

「それを思い出させるために質問をする」


「さあ質問に答えてくれるかな。あいつは今、何処にいる」

「まあ、知らねえ中ではねえよ。そうだな、契約を解けさえすれば教えてやるよ」

「服従だろ、まあ契約は解いてあげよう。そうすれば教えてくれるんだろう」

セトは少し驚いた表情をした。


「……随分素直だな」

「ああ、あの子も君を頼ろうとはしないだろうしね、問題はないから」

「はっ、じゃ早速やってもらうぜ」

セトはそう言うと詠唱を始める。

「【契約破棄】」


「我、今契約を破棄する。求は同意」

「我、破棄への同意を提示する」

セトとアリューの間に現れた鎖のようなものが弾ける。

「これで契約は終わりだな、あー得した得した」


「さて、ラプラスの話だな。アイツは今、罰を受けてる。精霊のその身を悪魔に堕とした罰をな」

「罰?ラプラスは今どこに?」


「そのラプラスから聞いた話だと「私はある者に追われているそしてきっと罰を受けるだろう『ハイルデザート』で」とか言ってたな」


「ハイルデザート、何か聞いていいかな?」

「全ての物に霊が宿る場所、ってしか聞いてねえな。てかお前も精霊だろ、何でお前の方が詳しくねえんだ」


「僕は交流が少ないんだ、そのおかげで知識量もね」

ハイルデザートか、まあ一歩進展か。

「てか、お前か。ラプラスが追ってた精霊は」

「さあね」


「それともう一つ、何でその場聞かなかった?あのクソガキに聞かれたらいけない話なのかよ」

「決着は僕が付けるべきことだ、あの子にまで背負わせる事は無い」

「けっ、そうかよ」

僕はセトに礼を言うと転移でこの場を去った。


ハイルデザート、そして罰、何が起こってるんだろうか。

調べないといけない、しばらく空けることになりそうだね。

やることはやってあるし大丈夫でしょ。

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