堕
シータはその瞬間思考を巡らせる。どうすれば良いのかと。
(結界魔法駄目だ割られるだけ転移魔法は間に合わない魔法を放って牽制だめだ突っ込まれたらしぬ)
(全力で避ける事に徹する?筋肉の動きから先読みできる相手に?)
(ハハハ、絶望的だ)
セトの爪がシータを引き裂く。血が舞い、体が欠損する。
シータは自分の鮮血を眺めながら次の手考える。
「てめえ、また逃げる算段か?」
シータはセトに視線を合わせずに無言で思考を加速させていく。
複数詠唱
「【韋駄天】」
三角形の魔法陣がシータを囲むように発現する。
「カウンターの魔法だろ、俺の目の前じゃバレバレなんだよ!」
魔法陣を素通りされてセトが近づく。
その時、シータの前にアリューが姿を現す。
そしてセトの一撃を結界魔法で防いだ。
「誰だよテメエ、邪魔すんじゃねえ!」
「君が金狼セトか……まあ敵なんだね」
「【臆病の病】」
そうアリューが言い終えるとセトの体が持ち上がり、吹き飛ばされる。
「じっとしてて、今回復魔法を使うから」
アリューはシータに回復魔法を使う。体中の傷は癒え、左腕も綺麗に治った。
「ありがとう、アリュー」
「うん……シータは休んでて。後は僕がやる」
「アリュー、一つお願いがある」
「何?」
シータはアリューにその願いを話す、それは正気の者とは思い難い願いような物だった。
「良いの?」
その問いに対してシータはこくりとうなずく。
その時奥からセトの姿が映る。
「てめえら!なにくっちゃべってんだ!」
アリューはセトの方を向き直す。
「全く、この子はいつも僕を驚かせてくれるよ」
そう言ってアリューはセトに向かい回復魔法を使った。
「あ?ああ?二対一だからってテメエらに施しを受ける筋合いはねえぞ精霊!」
セトは爪を構えてアリューに切りかかる。だが、その爪はアリューには届かない。
「残念ながら、この子は二体一を希望してはいないんだ」
結界でセトの攻撃を防ぎながらアリューはセトに話しかけた。
そしてアリューは転移でその場から消える。
「さあ、セト。ラウンド2だ」
「……はっ」
セトは鼻で笑うとシータに向かって行く。
「随分吹くな、実力の違いは見ただろ。さっきの精霊に頼れば俺を殺せたかもしれねえんだぞ」
「今は合理的な選択なんてどうでもいい、この感情の意のままに私は動く」
(そうだ、この感情に従え。今はただコイツを)
「感情に流されるのか?まったく、クソガキが」
セトは金の剣をくわえ、シータに襲いかかる。
シータは自分の感情に従い、冷静になることなく戦いに臨む。二人の間には激しい戦いの光景が広がる。
どちらも手加減なく、全力で相手に立ち向かっている。
セトの爪とシータの結界が激しくぶつかり、衝撃が走る。
「【悪金御来光】」
セトは言葉とともに金の槍を生成し、シータに突進する。しかし、シータはそれを避け、反撃に移る。
「【九天衝落:黒天】」
シータの魔法が放たれ、黒い槍がセトに向かって飛んでいく。セトはそれを巧みに回避し、またもや反撃を試みる。
「結果は変わらねえ!何度やろうともな」
戦いは波状のように進み、どちらも一歩も引かずに互いに傷を与えていく。
セトの魔術と魔法、シータの多彩な魔法が入り乱れ、その様子はまるで舞踏のようだった。
そして、戦いは進み徐々に、セトが優位に立とうとしていた。
「【万雷】」
シータの周りに雷の蕾が出現する。それはシータに向かって放たれる。
「【万光】」
そう言うとシータの周りに光の蕾が現れる、それは【万雷】の蕾とぶつかり相殺する。
「猿真似が」
セトはシータに向かって駆け出す。
「お前と私じゃ見えてるものが違うんだよ」
シータは自身の周囲に結界を張り、セトの突進を防ごうとする。
しかし、セトは結界魔法ごとシータを引き裂くように爪を振り下ろす。
(ああ避けられないな、お前の見てる世界なら)
セトが自身の爪を振りぬくが虚空を斬り裂くような感触を受ける。
まるでそこには誰も居なかったかのような。
「当たって、何だ何が起きてる。【千物知覚】でも捉えきれない。一体何を」
セトが辺りを見回す、すると自身の胸の辺りから手のひらで押されたような感触を受ける。
「ちっそう言う事かよ」
「ああ、その通りだ」
(私はこいつにある魔法をかけた、気づかれないように徐々にゆっくりと。
その魔法は私の作った光で相手に偽物の映像を映す【天地錯誤】)
容器が耐えられないほどの圧力にさらされると、その瞬間、押し寄せるような力で中身が噴出する。先ほどのは、まさにマナの密度が過大で形を維持できずに弾けた状態。では、それをわざと弾けさせ、より強烈な力で噴出させればどうだろう?
それは言う所のパイルバンカーのような一撃になる!
五重詠唱
「【九天衝落
手のひらのさき、つまりセトの内部から破裂した衝撃波がセトを貫く。
セトの体を抉り、大量の血を撒き散らせながら吹っ飛ばす
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