半狼
「ああ、これからよろしく頼む」
「おう、でもな私だけって訳には行かない。少なくとも私の女は一緒に行かしてもらおうか」
「いいぞ、別に」
「へえ、随分あっさり許可してくれるんだな」
「ああ、最初からその予定だからな」
「あ?どうゆう」
「おい、店主。この店に居る獣人四十人、私が全員もらおうか」
急に話を振られた店主は少しの間黙り込みそして口を開いた。
「分かった、全員売ってやる。だがデルは駄目だやはり売れない」
「おいおいおい、ジジイ何度言わせやがる。指図してんじゃねえ」
「ダメだ。絶対に許さん!デル!言う事を聞け。お前を拾ってやったのは俺だろう!」
「はぁ~ジジイ寂しいのか?けっ気持ちわり」
「違う、お前は自分が魔獣と人間のハーフだと自覚していないだろ」
「それが?」
「は?はあ?お前がここに来た理由は分かってるだろ。人間にとっても獣人にとってもはお前は討伐対象なんだよ!」
「そんなの知ってるに決まってんだろ。あのなジジイ私は強いんだよ。それに私よりもっと強い奴が居るんだ私の身を案じてるなら心配すんな」
「……」
店主は言葉を返せず黙りこくっている。
そのまま部屋を出てついて来いと一言言い歩き始めた。
★
「金はこれで足りるか」
そう言い私は店主に袋を渡す。
店主が中身を覗くと驚きの声を上げる。
「何だこれは」
「フェンリルの毛や爪売ればこの奴隷分位にはなると思うが足りなければまだある」
これは私の毛や爪だ。毛や爪は転身魔法を解除すると全て生え戻る。
昨日の夜アリューに頼み少し集めた。
「い、いやこれなら十分お釣りがくる。問題は無い」
「そうか、それじゃあこの店の商品は貰っていくぞ」
「ほらよ、獣人の檻のマスターキーだ。全員開けろ」
「分かった」
鍵を受け取り、言われた通り獣人達の檻を開けに行く。
「さて、これで全部か」
獣人を一人残らず開放した。
「よし、全員外に出ろ」
そう言うと皆、一斉に外に出る。
「あ、あの僕たちは一体どうなるのでしょうか」
犬の獣人が話しかけてきた。
他の子たちも同じことを思ってるらしくじっと見つめてくる。
それに答える。
「私の奴隷だ。ちゃんとした扱いをするさ」
「え、この数を」
「そうだが、どうした」
(この数を全員買ったのかよ。期待するんじゃなかった。奴隷の開放なんて)
「いえ、なんでも、ありません」
「まあここは狭い、拠点に送ろう」
そう言って、転移魔法を使う。
「な、なに?」
そう言い残して獣人達を拠点に送った。
「さて、次はデル、もういいか」
デルは店主と話している。
「ああ、こっちも終わったぞ。そっちはいいか」
「ああ」
「ま、ジジイ寂しいなら。たまには帰って来てやるよ」
「誰がお前なんかと会いたいと思うか。バカ娘」
「ふっ、最後になるかもだからな言ってやるよ。クソおやじ」
「ふん、早く行け」
「じゃあな」
そうデルが言うと私に近づく。
「じゃあ送るぞ」
「ああ、頼む」
そして転移魔法を使いデルを拠点まで送った。
「なあ、お前さんの拠点は何処にある?」
そう店主に聞かれた。
「ここからはかなり離れているが、何故だ」
「まあ、そのなんだ。たまには会ってやりたいんだよあの子にな」
「ふっそうか、分かった」
そして私は店主に地図を渡し、その場所を教える。
「おお、確かにずいぶん遠いな」
「そうだな、じゃあ私はそろそろ行く。ではな」
「おう、ありがとなお前さん」
そうして私は店から姿を消した。
転移魔法で移動した瞬間なぜか店主の目がどす黒く見えた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます