第6話 配信者、DMをしてみる ※視聴者視点あり

 俺は昨日の動画に来ていたコメントを確認する。


==================


鉄壁の聖女 一日前

動画初コメ感謝です!

ドリアードとの畑の再建を今後も応援しています。そういえば、ドリアードは魔物なので何か首元に目印をつけておくといいかも知らないですね。

探索者ギルドで売っているチョーカーをプレゼントしてもいいですか?

DMお待ちしております。

▶︎返信する


==================


 何も編集せずに投稿してしまった動画を見て、ドリの存在に気づいていた人がいた。しかも、ドリはドリアードという魔物らしい。


 すぐにネットでドリアードのことについて調べた。


「ドリアードは……中々怖い魔物だな」


 探索者ギルドのホームページから魔物検索ができるようになっている。


――――――――――――――――――


[魔物図鑑]

【名前】 ドリアード

【種族】 植物系魔物

【ランク】 C

【スキル】 植物操作、木属性魔法

【特徴】 全身緑色の体をした女性の見た目をしている。頭には大きな花が生えているのが特徴だ。火が弱点のため、出会ったらすぐに火をつけるか火属性魔法を放ちましょう。

植物に囲まれているところでは、元のランクよりも実力を発揮するため注意が必要。


――――――――――――――――――


「全然可愛くないな」


 ドリアードとの戦い方が動画で載っているため、確認したがドリと比べて妖怪に近かった。ドリだけが特別なのか、それとも本当に人間なのかわからない。


 燃えて叫ぶドリアードは俺にとって衝撃的だった。


 スキルに書いてあるように植物操作ができるらしい。蔓をしなやかに操り、探索者をビシバシ叩いていた。


 ひょっとしたら作物が急に成長したのもドリの影響があるのかもしれない。


 まずは情報を得るために"鉄壁の聖女"に直接連絡することにした。





「きゃ!? まさか本当に連絡が来るとは思わなかったわ」


 その後朝起きても直接連絡が来ることはなかった。ただ、タイミングよく生配信になっていた。当の動画撮影者は気づいてなさそうだ。


 昨日と比べて普通にドリアードは出てきてるし、お爺ちゃんの足も映っている。


 どこか家族のホームビデオのような動画配信に私は癒されていた。


 今日は昨日の動画よりも視聴者が増えて四人になった。


 生配信が終わると突然メールが入ってきた。


「えーっと、チョーカーの存在を教えて頂きありがとうございます。プレゼント企画などは行っていないため、今回はお断りさせていただきます」


 やはりプレゼントは拒否されてしまった。事務所に所属もされていないため、直接送るしかないが住所もわからない。


 探索者ギルドに所属していたら、すぐにギルドを通してわかるはずだが、あんなに可愛いドリアードを連れていたらすぐ存在を知るだろう。


 すでにさっきの動画コメントも4件になっている。一人はお父さん狙いだが、後の三人は絶対ドリアード狙いだ。


 幼女を狙う卑猥な男達を私が物理的に叩きのめしてやる。


「またドリについて聞きたいことがあれば相談させて頂きます。今後とも畑の日記をよろしくお願いします」


 きっとお父さんは丁寧な人なんだろう。そして、あのドリアードは"ドリ"と呼ばれているようだ。


 私の一番の推しドリちゃんのことを考えると、今日も一日頑張れそうな気がした。


 これからもあの家族を見守ることにした。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る