26話
はっ!!
危ない!あまりの感動に俺の人生という物語を終わらせてしまった。
なんて幸せな事後の安らぎなんだ。隣で美希が俺の腕枕で息を荒げている。
ずっと動いてくれてたからな。
「はあ……はあ……私、気持ちよかった?」
何そのエッチな質問。一人称がついてるところがエッチ。
「人生最大の快楽だった」
「よかったぁ。葛城くんの、おっき過ぎてビックリしちゃった。久々だったから入らないかと思ったよ」
「腕くらいあるもんな」
「それは盛りすぎ」
「バレたか」
「今見てたからね? でも今までした人で1番おっきかったよ、ってなんでまだバキバキなの?!」
俺の愚息は天をついていた。
「賢者タイムなぞ、皐月の前では存在しないのだ」
「それはちょっと嬉しいけど……でもこのままじゃ美希とできないもんなあ」
「え、本当に隣の部屋にいるの?」
「居ないよ、バカ。あの子経験ないみたいなの。葛城くんがリードしてあげないと」
「あのおっぱいで?!」
今まで食べたパンの枚数くらいしてるのかと……じゃあ辿々しさは演技じゃなかったんだな。
「あのおっぱいで。うーん、今から私とリードの練習する?」
「します、金メダル目指します」
「まず日本代表にならないとね」
「最低でも金、最高でも金」
「なんでこんなムードないのにバキバキなの、ウケる」
「ムードとかいらないから。皐月がいればそれでいい」
「何言ってんのほんと。じゃあ、ブラ外すところから始めよっか」
指導の2回戦、アドリブの3回戦を終えて、一緒にお風呂に入った。
その後4回戦目をして、5回戦目を止められたので、美希と合流して居酒屋に入った。
「お疲れ様〜! あれ、凌くん顔にホホバオイルでも塗ってる? テッカテカだよ」
「ああ、これはさっきまで皐月と、いったああい!」
でも気持ちいい。太ももをつねられた。今は言うタイミングじゃないらしい。
「私が塗ったの、乾燥してたから。打ち合わせうまく行った?」
「おかげさまでいきまくり!」
「イキまくり?」
「セクハラおじさんは喋らないで」
「うす」
「?? なんか今日いつもより仲良しだね。凌くん、デート楽しかったあ?」
美希がわざとらしくむくれた表情で言った。いつも通りでは?
「うん。映画みた」
「それだけ? 私と別れてから10時間くらい経ってるけど」
「あーー、3〜4本みたからな!」
「ふーん?」
美希が皐月の方を見た。皐月はスマホをガン見することで視線を回避していた。絶対普段見ないであろう占いを熱心に読んでいる。
「私ともデートしてくれるんだよね?」
「ああ、そのつもりだよ。さっきも皐月と美希とするための練いったぁあああい!!」
今度は本当に痛かった。これアザになったんじゃないか?(歓喜)
「ならいいけど! あ、店員さんメガハイボール4つとテキーラ2つ」
「なんのテキーラ?!」
この居酒屋テキーラあるんだ。
「2人の粗相テキーラだよ、ねー皐月姉」
「ありがたく頂戴します」
「俺もか」
珍しく美希が皐月に圧をかけている。その後もアルハラが続くかと思ったが、楽しく3人でいつも通り飲むだけだった。
カウンターで3人で横並びで飲んでいたが、やけに美希がくっついてきて、おっぱいがいっぱいだった。酔っ払うと皐月も美希の前では遠慮がちだったが、俺にくっつくようになった。
帰り道。当然のように俺の家に向かう2人が手を繋いで前を歩いてる。夜風が気持ちいい。皐月と美希を経由することでいい匂いもする。これ売れますよ、美女を経由した夜風。缶につめます。
「皐月姉〜!」
「なんだー」
「なんでもなーい!」
「なんだよ〜、怒ってる?」
「んーん、私のことも好きだよね?」
「当たり前!」
「よかったぁ〜。皐月姉好き〜」
「私も美希好き〜」
「3人で仲良くいよーね」
「いよ〜」
美しい百合の花が咲いている。俺は混ぜなくていいぞ。百合にセクハラおじさんが入るとか、日本国憲法6.66条で禁じられてるからな。磔石投げの後に市中引き回しの刑に処される。
家につくと、皐月が珍しくすぐにシャワーを浴びに行った。いつもだらだらした後か、朝に入るのに。
美希が真横でぴったりくっついてスマホをいじっている。
「ねえ凌くん」
「なに?」
「ちゅーしよ」
「なんで?!」
今日なんかモテるな?!
もしかして知らないところで俺余命宣告されてる?
「したいから。や?」
「全然やじゃないけど」
もう練習の成果を出す時が来たのか?
「けど?」
「皐月風呂入ってるし」
「今入ったばっかだから15分は出てこないよ。ちゅー」
俺の頬にキスされた。天然のホホバオイルついちゃうよ?!
「ちゅ、ちゅ、ちゅ」
何度もキツツキのようにキスをして、少しずつ唇に近づいてくる。俺は皐月に教えてもらった通りに美希の髪を耳にかけ、頬に手を当て、優しく唇に唇を重ねることなく、おもいっきり吸い付いた。
「んー!」
俺のキスはちゅーではなく、ぢゅーだ。
「んまっ! もー、凌くん強く吸いすぎ! じっとしてて」
「すまんっ」
最後のんっ、はキスで封じられた「んっ」です。
皐月のように慣れたキスではないが、不慣れなところも逆にいい。
地べたに座る俺の上に乗る形で、美希にキスされる。
俺は皐月に美希とする時いきなりおっぱいにがっつくなよと言われていたけど、耐えきれずいきなり胸を揉んだ。全ての教えを守れていません。
「あっ」
からぁーーげヤミーに作るなら!またいっぱい食べたいな!デリシャス!シャシャシャ!!ハッピースマイル!!
「んんっ」
これはもうしかたない、神様も目を瞑ってくれるはずだ。俺は先ほど練習したブラホックを外すために背中に手を回した。
「だめっ。ここまで! 皐月姉でてくるから」
そんなぁ!!!!
美希、わざと寸止めしてるのか?
そういう作戦なのか??
「うえーーん」
「すごい悲しそうな顔。よくそんな眉尻を滑り台みたいに下げられるね」
わかりやすくうえーんしたら、若干引かれた。
「続きはまた今度ね」
「ツヅキ、マタコンド。ヤクソク」
「なんでカタコトなの。はい指切りね」
「なに約束してるのー?」
気付くと皐月が髪をバスタオルで拭きながら出てきていた。
「わ、私とも映画みよーねって。ね?」
「エイガ、ヤクソク」
「日本語二週間目くらいになってるよ」
「私もお風呂ー!」
美希がスタスタと風呂へ向かっていった。
皐月はドライヤーをかけ終わると、何も言わずに移動のついでのように、俺にキスをした。
「え?」
「……口紅ついてる」
充電コードにスマホをさして、YourTube見始めた。
クチベニツ・イテル?
どういうこと??
「一緒に見る? お笑い。面白いよ」
「お、みるみる」
美希が戻ると、寝ながら3人でお笑いを見た。3人とも笑うタイミングが違くて、でもそれが逆に面白かった。
違う視点があった方が、作品の意見交換しやすいねーとか話しながら、2人は眠りについた。
今日も一日幸せだった。このまま執筆から距離を置き続けてもいいくらいだ。小説を書いていないのに幸せな日々がおくれるなんて知らなかった。
思えば俺は、本当に小説家になりたかったのだろうか。何者かにならなくちゃいけないと思い込み、比較的得意だった小説に逃げていただけなのかもしれない。
でも、ダメだ。皐月は三階をなんとしても制覇しないといけない。
明日行こう。俺のことは後で考えればいい。
深く考えると寝付けなくなりそうだったので、俺は美希とのランデブーを思い返しながら眠りについた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます