これが、おっぱい

18話

 帰宅。 

 1人で歩けないほど酔っている2人も、置いていくわけにはいかないので、連れて帰ってきた。

 ドッと疲れた俺は、1人シャワーを浴びた。散々な1日だ、ダンジョンでは活躍できないし、飲みの場では虐げられ、最後は修羅場とは。厄日かもしれない。 


 服を着替えて、戻ると手を繋いで2人とも座ったまま寝ていた。仲良しだな。女心難しすぎる、さっきまで怒鳴り合ってたのに。


「ん……私も入る」


「私も……一緒に入ろ」


「うん、入ろ」


 ドライヤーの音で目覚めると、フラフラと2人でシャワーを浴びにいった。

 俺は2人がよく泊まりに来るので置きっぱにしているホットパンツ型のパジャマとTシャツを出しておいた。


 バスタオルを巻いて2人が出てくると、俺が出した着替えとドライヤーを「ありがと」と受け取り、洗面所に戻っていった。 


 髪を乾かしあって、2人が戻ってきた。

 なにやら美希が神妙な面持ちをしている。


「じゃあ、凌くん……しよっか」


「な、なにを?」


「皐月姉と、したこと」


「もっかい風呂に入るってこと?」


「お風呂場でしたの?」


 美希が振り返り皐月に声をかけた。


「……うん」


 あー、そっちの話か。

 え、それをするって、ッッッッッッエ?!


「そっか……じゃあ、いこ」


 美希が俺の手を取った。


「待て待て、全然したくなさそうじゃん」


「嫌じゃないよ。自然にしたかったなあって__」


「美希!」


 耐えきれず皐月が声を上げた。


「何?」


「本当にしてないの!! 信じてもらえないかもしれないけど、お風呂場で体を洗った時に、流れで少しそういう雰囲気になっちゃっただけで、最後まではしてないの」


「本当に?」


「本当!! 神に誓う!!」


「どこまでしたの?」


「……最後、以外」


「詳細に」


「全身洗って、胸触らせて、ディープキスして、葛城くんのアレを、お尻に押しつけました……」


「……」


「ごめんなさい! 隠してたわけじゃないの、話したら傷ついたり、仲に溝が出来ちゃうかと思って。それ以来そういうことはしてないの」


「……な〜んだぁ、いっつもしてたんじゃないんだ! ずっと仲間はずれだったのかと思っちゃった」


 美希がホッとしたように息を吐き出した。


「美希ぃ、許してくれるの?」


「許すも何も、怒ってないんだって! それにそれなら、もうイメトレもバッチリだし、怖くない。 さ、いくよ凌くん」


「え?」


 待て待て待て待て、展開が読めない。

 少女漫画はページめくると事後だったりするが、それよりもハイスピードだ。


「え? じゃないよ、私とも同じことするの。それで全部解け……え、もしかして、私とするの嫌なの?」


「嫌じゃないよ?!」


 俺は首がもげるほど首を横に振った。

 厄日の揺り返しか?! 

 久々のご褒美タイムが来るのか?!


「じゃあ、いこ! シャワー浴びたばかりでわるいけど」


「私は外でてるね、お酒とツマミ買ってくるから、終わったら連絡して」


「うん! 気をつけてね」


 そういうと、本当に美希は財布と携帯をもって出かけてしまった。


「ちょっと、緊張するね」


「う、うん」


 ちょっとじゃないが? 


「えっと、脱がせてあげるんだよね。自分で脱げないからって」


 美希の震える手が俺のシャツを掴み、捲られた。俺は腕をあげて、流れに従う。


「あれ、前よりムキムキ?」


「ダンジョン入って2人のこと守れるように、体使うバイト増やしてたから、多分それ」


「そうだったんだ……」


 大好き、と顔に書いてある笑顔の美希と目が合った。ギャラ飲みで鍛えた愛想の……いや、今回は流石に本心か。


 顔を寄せると、美希からキスをしてきた。予想と反して、たどたどしいキスだ。

 あれか、慣れてない演技ってやつか。プロだな。


「エッチなチューは後でね」


「うん」


 それ死亡フラグでは?

 大丈夫か、家の中だし、死亡する原因になることが隕石の落下くらいしかない。

 顔を伏せて、美希は俺のダル着をパンツごと下ろした。


「きゃっ」


 ぼろん!!


 パンツごと掴んでいたつもりがないからか、すでにバッキーしている愚息をみて驚いたのか、小さく声をあげた。 


「……じゃ、私もぬぐね」


 マジマジとバッキーを見つめた後、急に背を向けてゆっくりとシャツとパンツを脱いだ。

 ホックに手を伸ばし、見たことのないサイズのでっかいブラが地面に落ちた。腕で胸を隠して、振り向いてくる。


「どうしよ、思ってたより何倍も恥ずかしい……」


 顔を真っ赤にして流し目でこちらを見ずに呟いた。

 もう襲ってもいいですか?

 この状況であれば襲っても構いませんって、法律で許可されてないの?

 落ち着け、スプラッター映画を思い出して性欲を沈めるんだ。美希と同じ手順を踏まないと強制終了の可能性がある。


「美希は隠してなかったよ」


「あ、そう……だよね。わかった」


 俺は思わず口をついた言葉に感謝した。諸葛亮孔明の生まれ変わりかもしれない。


 ゆっくりと、ゆっくりと、腕で守られていた胸が観音開きされていき、両手は肩の横に揃えられた。 


 お、おお、おおお、おおおお!!!!!


 おっぱーーーーーーーーーーーーい!!!


 こ、これがGの迫力と美しさ!!

 ギリシャの彫刻よりも絵画的な曲線美はエロさをこえて芸術だ。

 世界遺産にいますぐ登録するべき、どこに連絡すればいいんだ?

 いやしかしこの絶景を地球の人々と共有せずに独り占めしたいと思ってしまうことは、いけないことでしょうか?いやいい(逆反語)


「うー。見すぎだよぉ……変じゃない? 大丈夫?」


「変」


「え?! どこ、やだぁ!」


 バッと手で隠してしまった。違う違う。


「綺麗すぎる」


 美希の乳首色の絵の具を作ったほうがいい。鮮やかすぎる。きっと芸術界の技術的特異点を突破するだろう。


「もう、びっくりさせないで! いこ」

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