穴のあいた桶

 昔々のお話。

 十兵衛さんは、無類の女好き。

 お酒を飲んでは、嫁さん以外の女の尻を追いかける困った男であった。


 ある日の夕方。

「ねぇあんた。これから、ドジョウ捕まえに行くからついてきて」

と嫁が言う。


「今からか? 明日の朝行けばいいべ」

「なに言ってるんだい。朝行ったら、人がいっぱいいてドジョウ捕まえられねぇべ。今なら、人っ子いねぇはずだ。行くぞ」


 十兵衛は、仕方なく嫁について行った。

 さて、小さな桶に水を張りそこにドジョウを入れたのだが、気がつけば桶の中身が空っぽ。


「あー。この桶に穴があいてるわー。あんた、ちょっと棒持って来て! これにピッタリな棒!」

「棒なんて、この辺に落ちてねぇだよ」

「なに言ってんだい。あんたの棒貸しな!」


 と言うと嫁っ子は、十兵衛の股の棒をむんずと掴み、桶の穴に入れた。なんと、これがピッタリ嵌まる。


「おめぇ、何すんだよ」

「今日は、美味しいドジョウ汁作ってやるから、我慢しな。ほい、そのままじゃ水がこぼれるから、横になって!」


 十兵衛は仰向けに寝かされた。

 股には桶がのっている。十兵衛の大事な棒を入れたまま。

「いいかい、水を入れるけど我慢してよ」

 

 ドボドボドボ~

「ひゃ、ひゃっこいど!」

「我慢しな。今度は、ドジョウ入れるからな」


 ヌルヌルヌル~

「はぅ。やめでけれ! んだども、なんだか…… 気持ちええ~」


 ツンツンツン~

「あっ! ドジョウが俺の棒をつついとる! やめてけれ~ いや、やめないでけれ~」


 それからというもの、夫婦二人でよくドジョウを捕まえに行くようになったんだと。人っ子のいない夕方に、こっそりとな。

 そして十兵衛はこの日以来、他の女に興味が無くなったそうだ。


 とっぴんぱらりのぷぅ。

 

 

 





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