アレナニ医者

 ちょっと昔の話。


 純情すぎる女と純情すぎる男が結婚した。

 二人は、子どもの作り方を知らなかった。

 朝に晩にご神仏に手を合わせ子宝をお願いすれば、赤ん坊が授かると思っていたのだった。


 結婚して三年の月日が流れた。

 子どもができる気配はない。

 妻が声を震わせていう。


「あなた、私、なんだか苦しくて……」

 妻は、子どもができないことを悩んでいて(胸が)苦しいと言ったのだが、あわてんぼうの夫は、病気と勘違いして病院に飛び込んだ。


「先生、嫁が苦しんでます」

アレは高いか?」

「えっ? あぁ、熱はないです」

「そういえば、お前ん所はナニ結婚して三年じゃったな。アレ生理はあるか?」


「(こどもは)ありません」

「おぉ、それじゃナニつわりかもしれんな。アレ便は出てるかのう?」

「(赤ん坊は)出てません」

「ずっと?」

「そりゃもう、ずっと」


「まず、アレお腹をマッサージしてあげて。優しくのの字を書くように。それでもでなかったら、あっ、アレ。アレを挿して」

「えっ? アレを挿すんですか? どこに?」

「どこにって、穴に決まってるじゃないか。それから、グッと押すとナニが出るから、それで三分くらい我慢すれば大丈夫だ」


「はい! わかりました!」

 医者が薬箱から浣腸を取り出すと、男の姿はもうない。

「相変わらず、アレせっかちだなぁ。まぁ、ナニマッサージしても出なかったら、また来るだろう」


 一方男は、家に帰ると直ぐに布団を敷いて嫁を横にした。

 それから、胸をマッサージし始める。

 優しくのの字を書くように。


 さて、初めて胸をマッサージされた嫁は、なんだか気持ちがいい。

 頬が赤く染まり、はぁはぁと声が出始めた。

「熱か? 熱が上がって来たんだな」

 そう勘違いした男は、医者の言葉を思い出した。


 そういえば、アレを穴に入れろと言ってたな。


 男は、医者に言われた通り嫁の脚を広げ穴を探し、自分のアレを入れてみた。

 あまりの気持ち良さにナニが出る。

「今から、三分間じっとしていれば治るらしいぞ!」

 男は叫んだ。


 それからというもの、嫁が「苦しい」という度に男のマッサージが始まった。

 もちろん、二人はいつの間にやら子だくさん。


 とっぴんぱらりのぷう。





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