379 レベル9試験
高機動要塞都市コード。それは、高度物理文明期の宝物殿から分離した奇跡の都市。
とある男が高度物理文明の宝物殿の最奥で起動し、天空に浮かんだその都市は、過去文明の都市システムと兵器をそのまま有していた。
不幸だった点は、その男が正規のトレジャーハンターではなく、レッドハンターであった事。
都市を起動した男は新たなる王国の王を名乗り、仲間達と共に、搭載された兵器を使い都市の攻撃射程圏内に存在していた全ての国を焼き払い、力ずくで吸収した。
そして、その恐るべき都市は今なお、遥か天空からその地を支配し続けている。
議長からもたらされた情報は、状況が僕が期待したものと正反対である事を示していた。
敵じゃん。僕は高度物理文明の都市を観光したいって言ってるのに(言ってない)、コードって敵じゃん。もはや詐欺みたいなものだ。
だが、今更、その高度物理文明の都市が依頼人だと思っていたなどと言うことはできなかった。
カイザーやサヤはその事を知っていたようだし、トレジャーハンターは自己責任。知らなかった僕が悪かったという事だ。
僕には、深刻そうな表情で語られる議長の説明をただ呆然と聞く事しかできなかった。
探索者協会は依頼を受け、過去に二度、そのコードと交戦しているという。
一度目の交戦は、コードが起動した直後。
一方的な降伏通告と共に攻撃された国々からの依頼を受け、探索者協会は高レベルのハンターを集めコードの攻略作戦を行った。
結果だけ言うのならば、探索者協会はコードを止める事はできなかった。
探索者協会は動員したハンター達のほとんどを失いそして――かろうじて、コードに搭載された一つの重要な機能を奪う事に成功した。
そう――都市それ自体に搭載されていた、移動能力を。
コードに搭載された高度物理文明時代の兵器は現代技術の粋を集めた最新の兵器と比較しても隔絶した力を誇っていた。
その中の一つが、数百キロ離れた位置から広範囲を焼き払うエネルギー兵器だ。
もしも超長距離からの攻撃が可能なコードの移動能力を破壊することができなかったら、世界中の国がその脅威に怯え続けなければならなかっただろう。
破壊した機能は未だ修復されていない。今のコードは一地点に浮かぶ空中都市だ。
そして、一度目の戦いはコードの攻撃射程圏内の国が全て消え去ったところで、無期限の延期となった。
二度目の戦いはその百年後。コードの全権を有していた初代の王が死んだ時。
きっかけはコードから逃げ出してきた人物から持ち込まれた依頼だったと言う。
コードは王の代替わりの瞬間、都市システムに混乱が生じるらしい。
その一瞬を狙い、探索者協会は内外からコードの攻略を試み、そして、惨敗を喫した。
二度目の攻撃で、探索者協会は何も得る事ができなかった。
外側から攻撃を仕掛けたハンター達も、依頼者と共に都市への潜入を試みたハンター達も――誰一人として戻ってくる事はなく、コードは新たに即位した王の手により再び万全となった。
それ以来、コードに対して探索者協会は不干渉を貫き、その都市の名は表では語られないものになっていった。
外部からの攻撃は都市の防衛機能により通じず、内部への潜入も失敗。
コードの攻撃射程圏内には既に国はなく、高レベルのハンターの命を無意味に危険に晒すくらいならば近づかない方がいいというわけだ。それは事実上の敗北宣言でもある。
トレジャーハンターは騎士などと異なり自由だ。リスクは避ける傾向にあるし、無駄に死者が出るような仕事を斡旋すれば信頼も揺らぐ。妥当な判断だったのだろうと、僕も思う。
だが、それから約百年が経過した今、また状況に変化が訪れた。コードに挑まなければならない理由ができたのだ。
「コードの移動機能の復活、か。まさしく、世界の危機というわけだ。はははははは、ただ試験を受けにきたのに、まさかこんな難事にぶつかるとはな」
審査会終了後。探索者協会本部の最上階。
共に依頼を受ける事になった三人でテーブルを囲み、カイザーが爽やかな笑みを浮かべて言った。
四方がガラス張りの部屋からの景色は絶景で、帝都に勝るとも劣らない夜景がよく見えた。
どうやらここは本部でも極一部の特別な客にしか使えないVIPルームらしい。とりあえず話をするための部屋を(カイザーが)要求したら通されたのだが、夜景を見て現実逃避でもしろという事だろうか。
酷い危険な依頼を押し付けられたにも拘わらず、カイザーもサヤも自然体だった。
小さくため息をつき、カイザーの言葉に、サヤが落ち着いた声で返す。
「同意する。でも、超兵器で防御が固められた難攻不落の都市を外から攻撃するよりはずっとマシ。内部に侵入できるのならばやりようがある」
今回の依頼で唯一幸いな点があるとするのならば、都市内部に入り込める手段がある事だろう。
もっとも、その手段がなければこの依頼がレベル9試験になる事もならなかったろうから、幸運と呼べるかは微妙だ。
高機動要塞都市コードに潜入し、囚われの身になっている王族を救出せよ。
それが、今回のレベル9認定試験として提示された依頼だった。
難攻不落の都市に潜入し、コードの貴族階級に幽閉されているらしい王族を全員保護し、都市の外に逃がす事。
コードにおける王族は他の国とは立ち位置が異なる。
コードは古代文明のシステムを流用した都市だ。都市には様々な能力が備えられているが、その操作権限は最初に都市を起動した王とその血筋に帰属しており、王がいなければまともに動かす事ができない。
依頼人から持ち込まれた情報によると、現代のコードでは権力はその配下の貴族に握られており、平和を唱えた王族は軟禁され、都市の操作を強制されているらしかった。
移動機能が復活しても、都市を動かせるのは王族だけだ。とりあえず、王族を全員逃がす事ができれば、コードが移動し他国の侵略に乗り出す事もなくなるというわけだ。
…………てか、これってハンターの仕事なの?
確かに、ハンターは宝物殿の攻略で危険な場所に潜入するのには慣れているが、今回は世界の危機がかかっている。いくら何でもトレジャーハンターに重荷を負わせすぎではないだろうか?
依頼内容を聞かされてからやる気が下がりに下がり、心の中でグチグチ文句を言っていると、カイザーが大きく頷いてこちらを見る。
「まったくサヤ君の言う通りだよ。この《破軍天舞》に空に浮かぶ都市を攻める術はないし、経験もないからな。《千変万化》、君は空に浮かぶ都市の攻略経験はあるかい?」
「いや………………僕も大概いろんな目に遭ってきたけど、空飛ぶ都市の攻略なんて………………一回しかないよ」
「!?」
まぁ厳密に言えば、【迷い宿】は都市ではないし、攻略したわけでもないが――どうして僕はいつもこんなに酷い目に遭うのだろうか。
無力な僕にできるのはハードボイルドな笑みを浮かべることくらいだ。
「あ……あるのか。どうやって?」
「……その時は飛行船で突っ込んでしまったんだけど、どうなるかと思ったよ」
「!? 飛行船!? …………さすが、ゼブルディアのハンターは違うな……さすがの《破軍天舞》でもそこまで派手な事はしたことがない」
僕も今思い返しても二度と体験したくないね。
まぁ、だが冷静に考えると、今回の依頼、危険は危険だが、僕はどこに行っても大体危険なのだ。カイザー達がいるだけマシだと考えられるかもしれないな。
高度物理文明の粋。難攻不落の空中都市、か。
「神殿型宝物殿とどっちが危険なんだろう……」
「ふむ…………面白い想定だな。神の幻影はとてつもない力を持っていると聞く。だが、この私でも神の幻影など見た事がないからな……」
「へー…………カイザー、神の幻影見たことないんだ……なんか意外だな。僕なんて五年で三回も遭遇してるのに…………」
「!??」
もしかしてゼブルディアという土地が僕と合わないのだろうか? だがもう《始まりの足跡》を作ってしまっている。
パーティを作ったくらいならば移動も簡単だが、クランごと移動となるとかなり難しい。今までエヴァが全力でクランを運営してきてくれたのに、その努力を無にするなど僕にはできない。
まさか自分が楽をするために作ったクランが足枷になる日が来ようとは……。
しかしどうしたものかね…………いつも以上に今回はうまくいくビジョンが浮かばない。
これまでの試験は大体、単純なものだった。特定の魔物を倒せとか、宝物殿を攻略しろとか、貴重な素材を手に入れろとか、護衛をしろとか、やるべき事が明確に決まっていた。
だが、今回は違う。そもそも相手が都市という時点でトレジャーハンターが受け持つような仕事ではないのだ。
事前情報もほとんどないし、明確な手段が用意されているわけでもない。さすが探索者協会が褒美にレベル9の地位を与えるだけの事はある。
手段が不問と言うのは臨機応変になんとかしろという事であり、前例がないから誰もうまくいく方法は知らないよという事でもある。もうめちゃくちゃだ。
眉を顰め考えていると、不意にサヤが言った。
「《千変万化》、貴方がリーダーをやって。今回の依頼、私は貴方に従おう。臨時パーティのメンバーとして」
「!? …………一応確認するけど、なんで?」
「潜入任務はやった事がないし、貴方がリーダーとして一番適任だから。それに私は……一度、パーティに入ってみたかった」
真面目な表情でおかしな事を言うサヤ。
僕のどこがリーダーとして適任なのか。サヤにリーダーをやれとは言わないが、どう考えてもカイザーの方がいいでしょ。
「僕だって潜入任務なんてやった事ないよ。…………………………いつの間にか潜入してしまった事はあるけど」
「…………」
自分で言うのもなんなんだがめちゃくちゃな言葉に、サヤが微妙な表情で口を噤む。
ソラのうっかりが判明した時は本当に衝撃でしたね。狐のボスにもキレられるし、あれは酷かった。
ところでソラ達は元気でやっているだろうか……。
「本来ならばこの私がリーダーをやろうと言いたいところだが、まぁ今回はサヤ君の意見に同意しよう。この《破軍天舞》も、クランマスターでパーティリーダーを務める《千変万化》と神算鬼謀で勝負しようとは思わん。何しろ、この私は軍師ではなくダンサーだからな」
カイザーってダンサーだったのか……ダンサーでレベル8になれるって、テンペスト・ダンシング、本当に凄いなあ。
だが、軍師として期待されても困る。今まで僕がなんとかうまい具合にハンターを続けてこられたのは仲間達の尽力の結果以外の何者でもないのだ。
むしろ僕は全てが想定通りに行かない逆軍師(?)なんだよ。
僕は、しばらく指示をする側とされる側、どちらがリスクが高いか天秤にかけて迷っていたが、小さくため息をついて言った。
「わかったよ。まぁ皆レベル8のソロハンターだ、自由に動いてもらって連携が必要な時だけ話し合うのが一番いいと思うんだけど、とりあえず何を得意とするのかだけ確認しておこうか。まずは、サヤは何ができる?」
誰が強いかわからないと護衛もつけられないからな。
僕の問いに、サヤは迷う素振りもなく即答した。
「一通り何でもできる」
普通トレジャーハンターは役割があるものだが、こんな女の子が何でもできると断言するとは、末恐ろしい。
…………いや、カイザーより年上だったか。
「カイザーは?」
「ははは、そういう意味で言うのならば、この《破軍天舞》も大抵の事はできるさ。何しろ、ソロハンターは何でもやらないといけないからね! ヒーラーだってできるよ! 一番得意なのはダンスだが、ヒーラーの方もなかなかのものだと自負している」
レベル8ハンター、やばいな…………何もできない僕とは大違いじゃないか。しかし一番得意なのがダンス、か…………真っ直ぐ芯が通っていていいね!
どう答えたものか迷っている僕に、カイザーは茶目っ気たっぷりの笑みを浮かべて言う。
「だが、一時的なものとはいえ、パーティを組むんだ。リーダーには言っておこう。この《破軍天舞》にも苦手とするものが存在する。それは――狭い場所だよ。私のテンペスト・ダンシングは勢いのある舞いだからね……ステージが狭いと本領が発揮できないんだ。後、硬い相手も苦手だよ。逆に得意なのは――広範囲の敵を殲滅する事だ」
なるほど…………狭い場所と硬い相手が苦手、か。そして広範囲の敵を殲滅するのが得意、と。
僕は聞かされてしまったので、仕方なく頭の中にその情報をメモをした。
しかし、自らの弱点を会ったばかりの相手に晒すとは、なんだか意外だ。ハンターってのは手札を隠すものなのに。
そこでサヤが、カイザーの言葉にはっとしたように目を見開いて言った。
「リーダー、私にも苦手な事がある。もしかしたら作戦を立てる時に問題になるかもしれないから、今のうちに言っておく」
「…………いや、別にいいけど……無理に言わなくても……」
トレジャーハンターには敵が多い。弱点を教えられてもそれを誰かに漏らすつもりはないが、ここが盗聴されている可能性もゼロではないのだ。
その手の対策はなされているらしいが、この世界にはまだまだ未知の力が存在している。アドラーの『現人鏡』がいい例だ。
カイザーが目を丸くしてサヤを見る。
「絶え間なく襲ってくる魔物の大群を撃退した『さらさら』に苦手なんてあるのか……それは意外だな。二人で話をした時は何も言ってなかったのに」
「ある。あの時は言う必要性を感じなかっただけ」
サヤは大きく深呼吸をすると、覚悟を決めたように言った。
「私の苦手なもの――それは、朝と昼。私の異能は、夜にしか発動する事ができない」
その信じがたい言葉に思わず僕は目を丸くした。
ハンターも人だ、得意不得意は存在するが、それでも夜にしか力を使えないハンターというのは聞いた事がない。
魔術の中には使用する時刻によって威力が上下するものが存在するというのは聞いた事があるのだが――夜にしか戦えないのにどうやってレベル8になったのだろうか?
カイザーも同じ感想を抱いたのだろう。眉を顰めて言う。
「それは……随分極端な力だ。しかし、おかしいな……この私が聞いた話では、サヤ君はたった一人で魔物の軍勢と七日七晩戦い続けたと聞いたのだが――」
「それは………………嘘じゃない。貴方の調査はかなり正確」
サヤは肩をすくめると、まるで当たり前の事でも言うかのように言った。
「私が能力を使っている間――夜は明けないから」
脅すようでもない、何気ない口調。それ故にその言葉には不思議な説得力があった。
燃やす婆さんやばいとずっと思っていたけど、レベル8は化け物揃いか……夜が明けないってどういう事?
「それが、《夜宴祭殿》の二つ名の理由か…………頼りになりそうじゃないか。目立つとまずい今回のような任務では使いづらそうではあるが、それは、私も同じか」
「お義母さん――テラスの支部長からは、余り大っぴらに戦うなと言われている。周りを、怯えさせてしまうから」
「ははは、それはこの私も同じだよ。力ある者には節度が求められるからね」
ルーク達も少しカイザーを見習った方がいいかもしれないな。
もしかしたら、こういう戦闘能力以外の部分が今回の依頼でレベル8が抜擢された理由の一つなのかもしれない。
二人のその様子に少しだけ元気がでてくる。
ハンターというのは年々レベルが上がっていると言われている。百年前と今ではトレジャーハンターの質がまるで違う。
コードがいくら難攻不落でも、内側からの攻撃には弱いはずだ。
仮に目標である王族を全員保護できなかったとしても、最悪サヤとカイザーに七日七晩暴れさせれば侵略する気もなくなるだろう、多分。
それに、今回の敵が都市だからといって、僕の当初の目論見が達成できないと決まったわけではない。
都市に入れるのは間違いないのだ。町中を知らなければ王族の保護も不可能だろうし、運が良ければ宝具を買いに行くこともできるはずだ。
そこで、サヤがこちらを向いて聞いてくる。
「ところで――《千変万化》。貴方には弱点はあるの?」
「僕の弱点は……沢山あるけど、一番大きいのは、何をやってもうまくいかない事かな。まあ、今回はカイザー達もいるし、余り心配してないけど」
「ははは……依頼達成率百パーセントの《千変万化》が、よくもまあ言うじゃないか」
カイザーが笑う。冗談か何かだと思っているのだろう。
だが、僕にできる事はいつだって祈る事くらいだ。
サヤが少しだけ不機嫌そうに言う。
「しかし、笑い事ではない、今回の依頼は不確定要素が多い。一番の問題は――依頼人が不明な事」
「まったくだな。こんな怪しげな依頼、普通は持ち込まれた時点で拒否するだろう。探協がこの依頼を通常の依頼として他の高レベルハンターに振らなかった理由がわかるよ」
今回の依頼は未知の金属のカプセルに入れられ、探索者協会本部の付近で発見されたらしい。
カプセルには依頼の詳細やコードの状況について入っていたが、差出人についての情報は含まれていなかった。
唯一わかっているのは、その依頼人がコードでは相応の地位にいるという事だけだ。
その証明となっているのが、同封されていたコードに入るためのパスカードである。
それがそのまま今回の人数制限になるのだが、都市のシステムで発行されるその金属カードは正規の手段でコードに入るための唯一の手段であり、コードでもかなり高い地位にある者にしか発行権限がないらしい。
探索者協会はそのカプセルの中身を吟味した結果、その内容を真実とみなし持ち込まれた依頼を緊急の、絶対に失敗は許されない依頼として受領する事を決めた。
「だが、受けざるを得なかった理由もわかる。それに数少ないレベル8ハンターを動員するのも、ね。カプセルを無視してコードが移動を始めたら幾つの国が滅ぼされるのかわからないし――前回のコードとの戦いでは、ハンターに同行しコード潜入に協力した依頼者も戻ってこなかったらしいからな。探協としては、最低の不名誉だよ。消せない汚点を少しでも挽回したいんだろう」
理屈はわかるけど…………巻き込まれる方からしたらたまったものではないな。
ため息をついていると、カイザーが不意にそれまで浮かべていた真剣な表情を崩し、僕を見てにこやかに言った。
「それで、《千変万化》。我が新たなる友に、一つお願いがある」
「お願い……?」
何を急に言い出すのだろうか。目を丸くする僕に、カイザーが軽い調子で言った。
「なに、難しいことではない。この依頼が君の想定通りにうまくいったら――この《破軍天舞》をラドリック皇帝に紹介してくれないだろうか? 本来レベル9になるようなハンターは世界中に名が知れ渡っているかもしれないが、今回はイレギュラーな試験でレベル9になるのだ、大帝国の皇帝陛下とも顔を繋いでおくべきだろう?」
「!!」
その言葉に、僕は思わず目を見開いた。
…………あの審査会で発言してた人、ゼブルディアの皇帝か。ちゃんと私は皇帝だと言ってもらわないと困る。
依頼達成のために頑張ってくれるならば顔を繋ぐくらい問題ない。
僕もそこまで親しくはない相手だしどういうふうに顔を繋げばいいのかわからないが、僕にはフランツさんがいる。
「お安い御用だよ……………………おまけでユグドラの皇女もつけようか? 活躍したら、だけどね」
「!! レベル8を動かすには十分な報酬だな、友よ」
これだけ友を連呼されるなら、僕達はもう親友と言ってもいいのでは? ちょっと変わってるけど、燃やす婆さんよりだいぶマシだな?
カイザーに触発されたのか、サヤもこちらをじっと見て言う。
「私は…………この依頼が無事に終わったら、貴方のパーティメンバーを紹介して欲しい。レベル8のパーティメンバーに興味がある」
「…………いいよいいよ、紹介してあげるよ。今回はけっこう厳しそうだし、活躍してくれるならね。もしかしたらサヤは僕の妹といい友達になれるかも」
どっちも似たタイプみたいだし……いや、リィズ達とも友達になれるかもしれないな。皆、強いハンター大好きだからな……。
「!! それは……この《夜宴祭殿》を動かすのにはこの上ない報酬」
落ち着いた様子から一変、食い気味に言うサヤ。
《夜宴祭殿》、安いな!! パーティメンバーを紹介するだけでいいなんて、いくらでも紹介してあげるから僕の護衛やって欲しい。
「………………おまけでユグドラの皇女もつけようか?」
「それはいらない」
セレン……可哀想に。
まぁいい。何はともあれ、依頼を始める前に仲間とわかりあえたのは僥倖だ。
このコード潜入という難事を如何にして乗り越えるのか。他国のレベル8の力、この目でしかと見届けさせてもらおうか。
頑張れ頑張れ!!
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