第6話

「あのー。観光スポット専門のyuYubeをしています。ここの近くに観光名所があると聞いたのですが、迷ってしまって」

「ああ、観光スポットならもっと東だよ。あそこの林道を右に……」


 日台が親切に話している間。

 奇妙な事が起きた。


「地図にはここにあるって、載っているはずなのになあ……あれ!?」

「うん?!」


 道を尋ねた人と日台が同時に首をかしげる。


 今まであったはずの林道の小道が忽然と無くなっていた。

 俺は目を擦りながら、多分、見間違いで林の奥には小道が繋がっているんだろうと思った。


「うーん。なんか……。あの、失礼ですが、ここ廃村ですよね。何かの心霊スポットの取材か何かでしょうか?」

「そうです」

「ぼくも御二方に同行していってもいいでしょうか?」

「うんうん。別にいいけど、床とか階段が腐っていて危ないよ」

「大丈夫です! 良かった。午後には帰らないといけないんですよ。急いでいます。できればここで取材しようと思います。ぼくの名前は鈴木 信夫です」

「よろしく。俺は日台 伸介。心霊写真ライターをしていて、こっちの運転手が海道 雅くん。配送センターで勤務していて、この廃村の元住人だったんだ」

「それは良いですねー」


 日台と鈴木が意気投合している間に、雲行きが怪しくなってくる前兆の真夏の風が急激に涼しくなって来ていた。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る