第5話

――――


 蛇白村まで軽自動車でT県の国道を走ること2時間。林道を走ること1時間。日台はその間。終始無言で考え事をしていた。


 俺は東京では配送センターでアルバイトをしているから、長距離運転には慣れている。晴れた早朝の5時に蛇白村へと向かったが、林道に入ると、そこは別世界だった。

 

 薄暗く。

 ここの近くに観光スポットがあるなんて、誰も信じないだろう。


 村の中央の大きな病院の蛇白村総合病院が見えてきた。元はサナトリウムを作る計画だったが、出資者が病院もと途中から設計を変えたようで、総合病院の後ろには広大なサナトリウムがある。


 今では廃病院となった蛇白村総合病院は、その外観が荒れ果てていた。


 枝や草で汚れてしまった軽自動車を村の入り口の整備された道路につけると、突然に窓ガラスを誰かがノックした。

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