脅威の乗り物タッグ

 チーム京天桃血の機転を利かせた戦いに会場は沸いていた。

 実況が声を荒らげる。


「あの状態から京天桃血が勝利だぁー!! そして京太選手のツンデレだぁーッ!! コメント欄は女性リスナーも多く、ファンになった者も多いようだぞぉー!? 羨ましいぞー!!」


 普段かおるチャンネルを見ないリスナーたちだったが、京天桃血の魅力によってかおるチャンネルを知って登録しに行く。

 京太の特異な強さ、ピンキーの可愛さ、そして二人の会話による脳内カップリング。

 登録者数がかなり上がっていく。


「今大会の注目はガンガール、京天桃血に集まっているようです! いや、しかし――」


 ドローンに搭載されたカメラが京天桃血から、別のチームを映し出す。

 それは交戦する二チームだった。

 片方はチーム〝サンドボックスの顔も三度まで〟だ。

 クリスタルの防具や、石の家をクラフトして有利な状況を作り出そうとしている。


 もう片方はチーム〝ザ・紙装甲〟だ。

 見た目はパワードスーツで硬そうだが防御力はない。

 だが、それを補って余りある機動力が備わっている。


「防具+建物クラフトでの防衛VS機動力による攻撃! お互いに倒しきれない熾烈な戦闘が続いているぞぉー!」


 埒が明かず、おまけにフィールド縮小もしてきている。

 ザ・紙装甲がしびれを切らして、ダメージ覚悟で特攻して戦況を変えようとした、そのとき――


『な、なんだこの音は……』

『鋼の唸り声……』


 現地にいるチームの声が入ってきた。

 カメラが引くと、遠くからやってくる巨大な鉄の塊が映し出される。

 それも一つではない。


「残り七チームの中で、特にバトロワ大会で場違いすぎる奴らがきたぁー!! しかも掟破りのタッグかぁー!?」


 無限軌道キャタピラを回転させ、迫ってくる巨大な鉄箱。

 チーム〝パンツァースリー〟の戦車。


 その横を二足歩行で走ってくる四メートルクラスの鋼鉄の巨人。

 チーム〝鋼の魂〟の巨大ロボット。


「でかぁい!! 説明不要!! いくら防具扱いで持ち込んだからってヤバすぎるぅ! 次回からはルール変更になりそうだとコメント欄で騒がれているぞぉー!!」


 現地にいた〝サンドボックスの顔も三度まで〟と〝ザ・紙装甲〟は互いに戦闘中ということも忘れて、呆然とした表情で呟いた。


『『ドデカすぎんだろ……』』


 その言葉のあとに彼らは敗北して、巨大タッグ連合はチーム京天桃血がいる方へと移動していくのであった。

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