第8話

「へぇ、意外と普通ですね……」


 たどり着いた先はどこにでもありそうな喫茶店だった。

 地下にこんな店があるなんて知らなかったな。


「まあ、見た目はそうですね。中は結構凄いですよ?」


 カランカラン♪


 ドアを開けると中にはとんでもない光景が広がっていた。


「すっげ……なんだこれ」


 たくさんのアーケードゲーム機が並んでいるのだ。

 最新機種から古いのまで。


「すごいでしょ? ここは会員制のアーケードゲームカフェ『GoIdiot』だよ」

「ゴーイディオット?」


 聞き慣れない単語だ。


「フッフッフッ、気に入ってくれたかな?」


 後ろの方から声がした。

 振り返るとそこにはサングラスをかけた男が立っていた。

 俗に言う中折れ帽を被っておりそれも相まって絶妙に怪しい人になっている。


「あ、マスターこんにちは」

「はいこんにちは! みんな元気にしてるかい!?」

「……あ、はい」


 テンション高い人だなぁ……。


「僕の名前はジョン・ドゥ。この店の店長さ!」

「あ、どうも」

「今日は楽しんでいってくれたまえよ! それじゃごゆっくり!」


 そう言うと彼は奥の部屋へと消えていった。


「んじゃ早速始めますか!」

「うん!」

「はい!」


 こうしてオフ会が始まった。

 それでやりたいやつってのはどれなんだろうか。


「……これが、私達のやりたいゲーム」

「へー、どれどれ」


 依織が指さしたのはシューティングゲームだ。

 画面を見る限り結構難易度高そうだな。


「えっと、ルールは……1チーム4人でそれぞれスコアアタックをして、一番得点が高かった人が優勝か」

「……うん」

「よし、じゃあやるぞ!」

「……っしゃあっ、来いガキども!」


 ……レイオットさんはゲームする時だけキャラ変わるんだよな……。

 俺達はそれぞれ席に着くとゲームを開始した。

 このゲームは4人で同じマップに降り立ち敵を倒しながら進んでいくというシンプルなものだ。

 4人それぞれ別々の場所に配置されてスタートとなる。

 1人ずつ順番にクリアしていき、最後のプレイヤーがボスを倒した時点で終了だ。


『Get Ready』


 ゲーム開始の合図とともに、画面が暗転してカウントダウンが始まる。

 3、2、1、START!!


「行くわよ!」

「ウスっ」

「負けねぇぜ!」

「……頑張る」


 それぞれの持ち場についた俺達はそれぞれ銃を構えると、画面に次々と現れる敵を撃っていく。

 しかし、いきなり敵の数が多すぎるような気がするが……。


「ラララララァッ!!」

「……」

「こんなの簡単だね!」


 他の3人はサクサクと敵を倒して進んでいるが、俺は全然ダメだ。

 正直言ってついていけていない。


「クソっ……!」

「……ほら、たーくん早くしないと置いてくよ?」


 隣に座ってる依織がニマニマした顔で煽ってくる。

 ……ムカつく顔だ。

 だが今はそんなことを気にしている場合ではない。

 なんとか食らいつかないと。


「オラオラァ! どんどんかかってこいや!」

「まだまだよゆー!」


 レイオットさんもルウナさんも余裕で敵に対処できているようだ。

 このままでは本当に置いて行かれてしまうかもしれない。


「うおおおぉぉぉ!」


 必死に撃ちまくっていると、『WARNING!!』と画面に表示された。

 どうやらボスのお出ましらしい。

 他の3人のスコアを見ると......うわ、いい勝負。

 俺以外は高い点数で戦っている。

 みんな俺の2倍のスコアを出している。

 つまり、俺はこの中でビリということに……。


「…………」


 これは……かなりまずい状況なのでは。

 いや、まだ負けたわけじゃない。


「……俺だってゲーマーだ」


 こんなところで諦められるはずがない。

 俺は目の前の敵に集中すべく、再び構え直した。

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