第6話
「……遅いよたーくん」
「悪いな、待たせたか?」
俺がリビングに戻ると依織はソファで寝っ転がって待っていた。
どうやら待ちくたびれたようだ。
「で、どうするんだ?」
「……私の部屋に行く」
「はいはい」
リビングから依織の部屋へ向かう。
一面ピンクの部屋が俺を出迎えた。
「それで次は?」
「……添い寝」
「は?」
今コイツなんて言った?
添い寝って聞こえた気がするんだけど。
「……たーくんも疲れてるでしょ」
「まあ確かに疲れてはいるが……」
確かに、今日も部活があり疲れている。
だからと言って何故一緒にベッドに入る必要があるのかがわからない。
普通に別々に寝れば良いだけだと思うんだが。
あと高校生が一緒のベッドで寝るっていうのも……ちょっと恥ずかしいと言うか……。
「……それに明日は休みだし問題無いでしょ」
「お前なぁ……」
「……それともたーくんは私と一緒に寝るのは嫌?」
「っ!」
あー、もうそれ反則!
そんな顔するんじゃねえよ……。
「わかったよもう……」
俺は依織に引っ張られるまま一緒にベッドに入った。
「じゃあ電気消すぞ」
「……うん」
部屋の明かりを消して横になった。
依織もそれに続いて横になる。
「……狭くないか?」
シングルサイズのベッドなので二人で入るとかなり狭い。
寝返りなんか打った時には落ちてしまいそうになる。
「……大丈夫」
依織は俺の腕を抱き枕のように抱えながらそう答えた。
そのせいで胸の柔らかい感触がダイレクトに当たっている。
「……たーくん、心臓うるさい」
「どーしろと」
しょうがないだろ、男子なんだから!
お前でも緊張しちゃうんです悪いですか!
だが、冗談らしく小さく笑う声が依織から聞こえてきた。
「……たーくん、こっち向いて」
「ん?」
言われた通りに依織の方を向くと唇を塞がれてしまった。
「っ!?」
俺は反射的に依織の肩を押して突き放した
依織は不機嫌そうな顔をしている。
「何するだぁ!」
「……キスだけど」
いや知ってるわ!
なんでしたのかを聞いてんだよ!
何をいきなりするんだコイツは!?
キスされるなんて、小さい頃以来だよ!
「……別にいいじゃん減るもんじゃないし」
「そういう問題じゃないだろ!?」
「……もう1回」
そう言って迫ってくる依織を押し返した。
「……むぅ」
依織は不満そうな声を上げるが俺はそれを無視して背を向け目を閉じた。
「うおっ」
今度は背中から抱き締められた。
高い体温を背中に感じる。
離れさせようとしたが……。
「すぅ……すぅ……」
という寝息が聞こえてきたので止めた。
どうやら眠ってしまったらしい。
「……はぁ」
俺は背中に温もりを感じながら瞼を落とした。
眠気に誘われ、意識を手放した。
「……大好きだよ、たーくん」
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